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一般庶民にもホーム・ケア?=SUSの新プログラム=医師や看護婦のチーム編成=病院改善計画も同時発表

ニッケイ新聞 2011年11月10日付け

 ブラジル政府が8日、統一医療保険システム(SUS)利用者でもホーム・ケアを受けられるプログラムと、救急病院の医療の質改善や改修支援計画を発表したと9日付エスタード紙が報じた。

 8日に発表されたのは、SUS利用者向けのホーム・ケア導入計画〃メリョール・エン・カーザ〃と、医療の質改善や改修支援の〃SOSエメルジェンシア〃。ジウマ大統領が昨年の大統領選で公約の一つとした医療現場の改革は、政権交代から10カ月余りを経た今、やっと実現の途につこうとしている。
 先進国で取組みが進んでいるホーム・ケアは、手術直後や高齢のため長期ケアが必要な人などに望ましく、病状改善が認められる例も多いが、経済的な負担が大きいため、医師派遣を諦める人も多い。また、病床や医療スタッフの不足が深刻な病院は、入院治療数削減を期待している。
 ホーム・ケアには医師や看護婦、理学療法士などの専門職が必要で、複数の専門家が連携して取り組む事が望ましい。
 同計画では、14年までに1千組の医療チームを組織して派遣との目標をたてており、言語療法士や理学療法士、栄養士らの特別チーム400組を作る費用も含む予算総額は10億レアル。今年は12月までに250組の医療チーム登録を期待しており、医療機器や薬品購入と移動経費として各チームに月3万4560レアル、総額860万レアルの予算を組んでいる。医師や看護婦らの採用やその経費負担は、自治体側が担当する。
 また、長期療養者が電動機器を使用している場合は、電気代を10〜65%免除するなど、患者やその家族の負担軽減策も講じる予定だ。
 一方、〃SOSエメルジェンシア〃は、全国40の主要救急病院での医療の質改善計画で、必要な病院には拡張、改修工事費も別枠支給する。
 9日朝のグローボ局の番組では、マデイラ川の水力発電所工事開始以来患者が急増、診察を待つ患者や入院患者で超満員となり、医療スタッフやベッドも足りないロンドニア州都ポルト・ヴェーリョのジョアン・パウロ二世病院を国内最悪と評したが、同様の悩みを抱える救急病院は多い。
 初年度の対象は、サンパウロ市のサンタカーザとサンタマルセリナ、リオ市のミゲル・コウトなど11病院で、入院期間のコントロール、病室管理や患者への対応マニュアル作成など、医療の質改善費用として各360万レアルを投入。施設の拡張、改修費は300万レアルの追加請求も可能だ。
 救急病院の対応改善にはSamuなどの救急医療サービスとの連携も大切で、SUSを巡る問題の全てを一朝一夕での解決する事は不可能だが、保健省は、シリオ・リバネス病院など、民間の優良医療施設にも指導や協力を仰ぐ予定だという。