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食品の塩分規制は不十分=心臓科医らが苦言を呈す

ニッケイ新聞 2011年11月10日付け

 保健省が今年4月に食品メーカーとの間で結んだ塩分削減に関する合意内容は、心臓病に起因する死亡率低減には不十分だと心臓科医達が警鐘を鳴らしていると7日付エスタード紙が報じた。
 現在市販されている食品に含まれる塩分は平均437mgで、最高796mg、最低118mg含まれているとされるナトリウムを、2012年には645mg、2014年には522mgまで削減するというのが合意の内容だ。
 専門家の中にはこれでも随分改善されたという人も居るが、ブラジルは今年、世界保健機構(WHO)や汎米保健機構に対し、12年までに国民一人当たりの塩分摂取量を現行の12g/日から5g/日に削減すると約束したばかり。
 1日の塩分摂取量を5gに減らすと、脳内出血による死亡率は現在の6〜14%、心筋梗塞による死亡率は4〜9%、全体の死亡率も3〜7%減ると見られているが、保健省の合意では1日5gまでの塩分削減は不可能で、死亡率低減も望めないと苦言を呈して来たのが、心臓科や血圧などの専門医達だ。
 保健省は食品メーカーと合意を結ぶ前に助言を求めるべきで、合意成立後に意見を聞かれても遅すぎるとの医師達の声に賛同するのは消費者保護研究所コンサルタントのシウヴィア・ヴィグノラさんで、大半のメーカーは合意を前提に商品開発を進めているという。
 保健省の担当者や合意擁護派の医師達は、現在の合意内容でも健康面での改善効果はあり、2020年までには1日5gの目標達成も可能というが、それでは国際機関との約束は果たせず、国民を危険にさらしたままとなる。

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