ニッケイ新聞 2011年11月11日付け
CIATE(国外就労情報援護センター、二宮正人理事長)は文協ビル貴賓室で5日夜、外務省、労働雇用省、社会保障省の担当者を招き、デカセギに対する施策に関する報告会を行なった。翌6日にあった『2011年度コラボラドーレス会議—訪日就労者に対する事前研修の重要性』の一環。85人の招待客が集まり、それぞれの発表に熱心に耳を傾けた。
ブラジル外務省領事在外ブラジル人支援担当副次官室長のアドリアーナ・リベイロ氏は冒頭、「現在海外に住むブラジル人は推定約300万人だが、合法就労者としてデカセギが働く日本での人口が唯一正確に把握できる」と明かした。
説明によれば、同省では在外ブラジル人コミュニティ支援の一環として、教育省と連携、すでに2万冊以上の教科書を各国に送り、そのうち5千冊が日本に送られている。
続いて、労働雇用省サンパウロ州労働局長のアチリオ・ぺぺ氏は、今年1月に文協ビル内に開所したNIATRE(帰伯労働者情報支援センター)の現状を説明した。
相談に訪れる帰伯者について「規律や仕事に真面目に取り組む態度が身に付いている」と評価する一方、問題として、日本で十分スキルを身に付けられなかったこと、敗北者意識、家族間の絆の脆弱さからくる主に子供達のアイデンティティに関する葛藤などを挙げた。
NIATREは現在、職員3人が常駐。開所以来10カ月間で2千件の相談を受け付けることを目標とし、政府から10万レ近くの補助金が支給された。
実際に、開所された今年の1月10日から10月9日までに1897件の相談を受け付けたことから、2014年1月までの継続が決まっている。
訪れた相談者971人のうち、大半がサンパウロ市内に住んでおり、日本に5年以上住んでいた人は276人だったと明かした。
ぺぺ氏は「帰ってきたものの、まだ一獲千金の夢を捨てきれない人もいる」とし、今後取り組むべき課題として「帰伯者がどこにいるかの把握、日本での経験を生かせるような職業の斡旋」などを挙げた。
社会保障省のエドゥアルド・バッソス国際室長は、今年9月に上院で法案が批准された日伯間の社会保障協定について説明。
発効には来年の日伯両国の外交文書締結が待たれている状態で、締結した月から3カ月目の初日に有効となるという。
日本の年金加入期間がブラジルの年金制度と合算されるため、ブラジルの加入期間を満たせば年金を受給できるようになる。ただし、日本で一時脱退金を申請した人は適用されない。
バッソス氏は、想定される年金申請の手続きを説明したうえで、「現在はブラジルでの給付のみだが、将来的に海外での直接受け取りも可能にしたい」と展望を話した。