ニッケイ新聞 2011年11月12日付け
労働者党(PT)が11日、2012年のサンパウロ市長選候補はフェルナンド・ハダジ現教育相とすると発表したと11日付各紙サイトが報じた。
マルタ・スプリシー上議の出馬断念後は、エドゥアルド・スプリシー上議も出馬を辞退。立候補の意思を表明していた他の2候補も事前の交渉で出馬を断念し、10日までに、正式な出馬表明者はハダジ氏のみとなっていた事は、11日付伯字紙も報じていた。
事前の下馬評ではマルタ有利とされていたサンパウロ市長選候補者選びの流れが変わったのは、拒絶率もそれなりに高いマルタ氏より、新しい人材をと考えるルーラ前大統領が、ハダジ氏擁立の意向を表明してからだ。
前大統領は、彼一流の選挙戦術として、サンパウロ市での知名度が低いハダジ氏を各種の行事に送り込む一方、ジウマ大統領にマルタ氏の肩たたきを行わせるなどして、着実にハダジ氏の足元を固め、単独出馬表明で候補決定というレールを敷いた。
ハダジ氏擁立が正式に決まった事で、PT内では、同様のやり方で他の自治体の長や議員候補を決めようとする動きが既に出ており、ガン治療中の前大統領の出番はいや増すとも思われる。
PTの候補選びが進む中、マルタ氏出馬断念と知った社会民主党のジョゼ・セーラ前サンパウロ州知事は8日、マルタ氏は最も有力な候補だったと発言。マルタ氏は「あの発言はセーラ氏が出馬を狙っている証拠だ」としているが、現時点では、社会民主党やカサビサンパウロ市長主導の民主社会党などの候補は未定で、〃PT候補ハダジ〃の名前だけがサンパウロ市民の記憶の中に刻み込まれ始める事になる。