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ロッシーニャ=ADAの牙城無血開城=わずか2時間で全域制圧=州知事「歴史的に残る1日」=UPPはW杯迄に40に

ニッケイ新聞 2011年11月15日付け

 【既報関連】リオ市南部にあるファヴェーラ、ロッシーニャ制圧作戦は13日未明に実施され、ヴィジガウ、シャッカラ・ド・セウの両ファヴェーラも含む地域が、一発の銃弾も使わず奪還されたと14日付伯字紙が報じた。

 ロッシーニャ制圧は午前4時過ぎからの海軍戦車進行からわずか2時間で完了し、銃声さえ聞かない無血開城となった。
 セルジオ・カブラル州知事が「歴史に残る1日」と評した13日の作戦には、軍警、市警、連警に海軍兵ら約3千人が参加。ロッシーニャなどがあるサンコンラド地域での作業と共に、リオ〜ニテロイ橋を含む道路の封鎖や検問など、包括的作戦が展開された。
 昨年11月のアレモン地区の作戦では兵士らによる強奪事件も起きたため、今回の参加者は鞄携行禁止。バリケードや路上にまかれた油以外はこれという妨害や抵抗もなく、6時前に全域が制圧され、ロッシーニャでは13時20分、ヴィジガウでは14時に国旗掲揚も行われた。
 警察は4人を逮捕、大麻112キロやコカイン60キロの他、大量の武器や弾薬、盗難バイク74台などを押収したが、数カ月かけて練った制圧作戦の成功は、コマンド・ヴェルメーリョ(CV)から派生した麻薬組織アミーゴ・ドス・アミーゴス(ADA)の牙城崩壊を意味する。
 ロッシーニャは、麻薬売買や精製所職員給与など、週200万レアルの金が動く大経済域で、1980年代に始まった麻薬取引は、2007年以降急速に拡大した。
 同地区での活動活性化は、コカイン精製技術を習得したロジェリオ・モスケイラ・リオスことロウキノウが、2006年にマカエ市で精製を開始した事が発端だ。翌年精製所を摘発されたロウキノウは、同ADA支配下のリオ市北部サンカルロスで精製を再開。地域のボスの命令で移動したロウキノウが指導するロッシーニャの精製所は急速に増え、最初の精製所摘発の2007年には既に最低3、4カ所での精製が始まっていた。
 精製用の薬品は地域住民が少量ずつ購入。10日に捕まったアントニオ・ボンフィン・ロペスことネンは、購入役213人に1回45レアルの報酬を払っていた。同地区では精製役が週1500、密売者も週200レアルの報酬を得ていたため、無血開城で安堵した住民の不安は雇用も含む経済基盤の確保。一般住民の必要にも応えていたネン並みの社会福祉的対応を州や市が行ってくれるかと問う声もある。
 一方、逮捕されたADA構成員はごく一部のため、警察は地域住民に情報提供を求めるチラシを配布。19番目の平和駐留部隊(UPP)は1千〜1500人規模となる予定で、それまでは特殊部隊や機動部隊が駐留。州政府の目標はW杯までに40のUPP設置だ。