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上野アントニオ氏の胸像が完成=除幕式に百人が駆けつけ=四十九日にあわせて挙行=西森州議「日系のペレと呼びたい」

ニッケイ新聞 2011年11月17日付け

 連邦下院議員を8期32年務め、パラナ日伯商工会議所、パラナ文化運動連盟(リーガ)創立など日伯友好、日系団体統合に尽力した上野アントニオ義雄氏(享年89)の功績を讃える胸像が完成し、13日に営まれた四十九日法要にあわせて除幕式が挙行された。胸像が設置されたパラナ日伯文化連合(アリアンサ、ロンドリーナ市)会館には、縁のある約100人が集まり、遺徳を偲んだ。

 胸像は銅製で大理石の台座を含め高さ190センチ。1万レアルをかけて製作した。アリアンサ会館の屋内正面玄関に設置された。制作は今年の1月に開かれたリーガ・アリアンサの役員会で嶋田巧会長が提案。全員一致で賛成となったことから、同会役員など有志から寄付を募り始めた。
 6月には1万レアルが集まり製作を開始し、8月に完成。除幕式を待つのみだったが、当時入院中だった上野氏の「病気を治して元気な姿で出席したい」との要望から延期となっていた。
 式当日、胸像の周りには人だかりができ、会館の外にまであふれた。
 西森ルイス下議、アリアンサの島田会長に続き、在クリチバ総領事館の山口登総領事が「日本政府としても日伯相互の交流には欠かせない存在だった」と挨拶した。
 続いて西森下議、山口総領事、嶋田会長、上野氏の弟蔵雄さん(77、二世)らが紐に手をかけ勢いよく除幕。胸像と並び、記念写真を撮る姿が見られた。
 嶋田会長は「本当は共に祝うはずだった。会えば、日語継承の重要性を訴えていた。彼の遺志を継ぎ、若い世代への教育に力を注ぎたい」と決意を新たにしていた。
 除幕式に引き続いて四十九日法要が同会館で営まれた。ブラジル創価学会の小野里勇参議により唱題が読まれる中、出席者は焼香に列を作った。
 西森下議は弔辞で「我慢、忍耐の人。こういう政治家はもう現れない。日系のペレと呼びたい」との思いを述べた。
 法要後、蔵雄さんは人がいなくなった玄関に戻って胸像に対面、「下議引退後はサンパウロ市に移り、家族との時間を取り戻そうとしていた」と晩年の様子を振り返り、「6人兄弟の中で男は僕と兄だけ。『お前が家業を継いだお陰で安心して活動ができた』との言葉は嬉しかった」と兄弟の絆を垣間見せた。