ニッケイ新聞 2011年11月18日付け
2010年の国勢調査の結果、ブラジルが少子・高齢化に進みつつあることがわかったと、17日付で伯字紙が報じている。
出生率は、調査開始以来初めて2人を割り、1・86人となった。州別で見ると、サンパウロ州の1・63人はじめ、17州で2人未満の数字となっている。また、2000年に行われた前回調査と大きく違うのは、若年齢での出産の減少で、15〜19歳での出産が18・8%から17・7%、20〜24歳が29・3%から27%にそれぞれ減り、逆に30歳以上での出産が27・6%から31・3%に増えている。
この動きに関してブラジル地理統計院長のヴァスマリア・ビヴァール氏は、「経済的にも精神的にもより成熟した状態で子供を持とうとする母親が増えた好ましい状況」と分析している。だが、その一方、9歳までの子供の数は10年前と比較し500万人も減少していることから、このままのペースでいくと2030年には人口成長が止まり、やがて減少に転じるとの予測もあり、「高齢化対策も必要となってくる」との声もある。
また、入籍などの法的な手続きを踏んでいない夫婦は全体の3分の1以上の36・4%にのぼり、離婚(入籍していない場合も含む)率は8・1%に及ぶこともわかった。
また、今回の国勢調査では、収入格差の大きさも明らかとなった。最も高収入の人10%の平均月収は5345レアルなのに対し、最も低収入の人10%の月収は平均137レアルと、40倍近い開きがある。また、人種間の平均収入でも、白人の1538レアルや黄色人の1574レアルに対し、褐色人845レアル、黒人834レアル、先住民735レアルと格差がある。
また、国内に家族を残して海外に移住した人の受け入れ先は米国が23・8%で1位。以下、ポルトガル、スペイン、日本、イタリアの順で続いている。移住者の出身地はサンパウロ州が22%で全国最多となっている。サンパウロ市の場合はヴィラ・マリアナ区からの移住が目立つという。