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ジウマ大統領=障害者向け新政策を発表=教育や福祉含む総合対策=ダウン症女児2人に涙も=生活不自由は4人に1人

ニッケイ新聞 2011年11月19日付け

 労働省疑惑の表面化で再び政権運営上の障壁にぶち当たっているジウマ大統領が17日、障害者向け新政策〃ヴィヴェール・セン・リミッテ〃を発表し、涙ぐみつつ「大統領としての特権を覚える」と発言したと18日付伯字紙が報じた。

 7人目の閣僚辞任の可能性が取り沙汰され、政権運営上、困難な状況下にあるジウマ大統領に涙を拭うほどの感動を与えたのは、ダウン症の少女が別のダウン症児を抱いている姿だった。
 カルロス・ルピ労働相の去就を巡り、民主労働党(PDT)内で分裂騒ぎも起きるなど、政権担当者としての緊張を強いられる日々が続いている大統領が「大統領としての特権を覚える」ひと時と言ったのは、ロマリオ下議の娘で6歳のイヴィちゃんがリンディベルギ・ファリア上議の娘で1歳のベアトリスちゃんを抱いている光景に感動し、彼女達に挨拶のキスをした直後の事だ。
 常日頃は冷徹さが目立ち、会議や政策発表などの場でも感情を表に出す事が少ない大統領がハンカチを手に涙を拭う姿は会衆の心を動かし、一同が「オレ、オレ、オレ、オラー、ジウマ、ジウマ」を連呼。サイトの速報タイトルにも〃新政策発表の場で大統領が涙〃の文字が踊った。
 今回発表された新政策は、視覚や聴覚その他の障害を持つ人を取り巻く制限や障壁を取り除き、健常者並の社会生活を送る事が出来るよう願って命名されたもので、発表には、保健、科学技術、社会開発・飢餓対策、企画の各相や人権局長官、官房長官らも同席した。
 〃ヴィヴェール・セン・リミッテ〃には2014年までに76億レアルの予算が立てられており、自治省に障害者も利用し易い市街化計画局を新設するほか、教育や保健衛生、福祉などの分野別目標も発表された。
 具体的な目標例としては、教育では、国公立4万2千校の改修工事や障害児用に改装された送迎バス2600台購入、手話を使える教師を648人増員など。保健衛生では、障害の有無確認のための新生児の血液検査拡大、義足や義手などの増産と調達の簡便化、医療機器などの購入に際する免税処置、統一医療保険システム車椅子の保守も(SUS)で行うなどの諸項目が挙げられた。
 また、極貧にあえぐ障害者には特別支援策、就労のための技術訓練や盲導犬訓練所増設、持ち家政策の対象物件に適応工事を施すなどの措置も同政策に組み込まれる。
 2010年国勢調査によれば、ブラジルには重度の視覚障害者が人口の6・7%にあたる1770万人おり、生活に不自由を感じるレベル以上の障害が一つはあるという人の割合は23・9%。高齢化や設問の変化も関係するとはいえ、障害者の割合は2000年の14・3%から急増しており、大統領や官房長官も早急な対応を求めていた。