サンパウロ市地下鉄=5号線工事に中止判決=建築会社との談合疑惑で=公社総裁の解任も要求
ニッケイ新聞 2011年11月22日付け
サンパウロ地裁は18日、サンパウロ市地下鉄5号線の路線拡張工事の差し止めと、地下鉄公社総裁のセルジオ・ヘンリケ・パッソス・アヴェレーダ氏の解任を要求した。19日付伯字紙が報じた。
この判決は、2010年4月に州検察局が「地下鉄5号線の拡張工事の入札で、企業間の談合が行われた疑いがある」として、無効を訴えたことに対するものだ。同年10月にはフォーリャ紙でも「入札の半年前に既に請負業者が決まっていた」と報道していた。
州政府は入札見直しのため、工事を一時差し止めていたが、検察局から警告を受けていたにも関わらず今年6月にアヴェレーダ氏が契約に調印し工事が再開していた。
不正入札が疑われた工事区間の契約には14の建設会社が関係し、予算総額も40億レアルに及ぶが、複数区間を担当する業者があるなど、検察局では州が被る損害は3億2700万レアルになると見ている。
これらの事実から、地裁は2013年完成予定のラルゴ・トレーゼ〜アドルフォ・ピニェイロ間を除く2〜8区の入札を無効とし、アドルフォ・ピニェイロ〜シャカラ・クラヴィン間の拡張工事の中止を言い渡した。これにより、完成予定が2015年まで延長されていた同線の工事は、さらに遅れることとなる。
地裁は同時にアヴェレーダ氏の解任も要求し、州のメトロポリタン交通局がこれに応じない場合、1日につき10万レアル、工事を中断しない場合は地下鉄公社にも同額の罰金を課すという判決も出した。
この判決を受けてアルキミンサンパウロ州知事は「具体的な証拠も無く、州政府の名誉も傷つけられた上に多額の賠償金を払わないといけないなどばかげている」とし、直ちに上告する構えだ。また、総裁解任を言い渡されたアヴェレード氏は、アルキミン政権の地下鉄延長計画の鍵を握る人物とされている。
また、21日付エスタード紙によると、地下鉄4号線のルス〜ブタンタン間が早朝から深夜までの本格操業を開始したことで、これまで最も利用者が多かったセー駅での混雑が15%軽減されたが、その一方で、ルス駅、コンソラソン駅、レプブリカ駅での混雑が悪化し、CPTMのピニェイロス駅利用客が12倍にも増大するなど、5号線以外の線も依然問題を抱えた状態だ。