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【高拓生入植80周年】親の名誉は回復された=高拓会 佐藤ヴァルジル会長

ニッケイ新聞 2011年11月25日付け

 1期生が1931年ヴィラ・アマゾニアに到着して以来、高拓生たちは艱難辛苦を乗り越え33年に優良ジュート種を発見した。
 しかし第2次世界大戦の勃発により、ヴィラ・アマゾニアの基地に留まった人々は捕まり、アマゾンに移住した日本人達はスパイとして迫害された。高拓生たちは幼い子供を抱え、家族と共に全てを捨て、僻地に身を隠した。
 戦争終結後は再びジュート栽培に従事し、絆によって固く団結し年々生産量を増やしてブラジル国内でジュートを自給自足できるまでになった。
 高拓生ならではの忍耐と努力の継続により、彼らは再び立ち上がり、最大の夢であった子孫の教育を実現できた。
 だが、こうした高拓生の貢献や資産が失われたことはほぼ忘れられてしまった。それでも、名誉が汚されたことが歴史から消えることはない。高拓生にとって名誉とは、生命にも勝るほどの測りえない財産である。しかし、その汚名を晴らすことのないまま正直に働き続け、未来がその潔白を証明することを願い、生き残った3人を除いて次なる人生へと旅立っていった。我々子弟に託された使命は、むしろ義務とすら言える。
 今日、トニー・メディロス州議員の勇気、そして他の議員の皆さんやオマール・アジス知事の公正さによりこの不正が正された。アマゾナス州の経済発展に高拓生がジュート栽培で貢献したことが公立学校の教育に義務付けられ、また州政府が正式謝罪をしたことで高拓生の汚名は拭われた。我々高拓子弟は皆様方に永久的に感謝を表したい。今日ようやく、逝去した我々の父母にこう宣言することができる。
 我々子弟は義務を果たし、あなた方の名誉は回復された。平和の内にお休み下さい。ありがとう。