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急病のバス運転手を撲殺=追突事故の腹いせにリンチ=バイレ・ファンキに要注意

ニッケイ新聞 2011年11月30日付け

 勤務中に気分が悪くなり、追突事故を起こしたバス運転手が、路上で違法パーティを行っていた40人ほどの若者たちからリンチを受け、撲殺される事件が起きた。29日付伯字紙が報じた。
 死亡した運転手はサンパウロ市のバス会社ヴィア・スール(Via Sul)に勤務のエジミウソン・ドス・レイス・アウヴェスさん(59)で、27日午後11時30分頃、サンパウロ市東部のジャルジン・プラナウトで突然気分が悪くなり、車3台と駐車中のオートバイ3台に追突し、一人をはねる事故を起こした。
 その直後、違法であるはずのトーレス・フロレンシオ・エ・リエリ通りでバイレ・ファンキと呼ばれるダンス音楽の野外パーティを開いていた若者約300人のうち、40人ほどが暴徒と化してバスを襲撃。レンガ大の石を窓に投げつけたりしたほか、意識を失っていたアウヴェスさんを窓から引き摺り出し、殴る、蹴るの暴行を加えた。バス備え付けの消火器で頭を殴っていたとの目撃証言もあり、「あいつに火をかけろ」と叫ぶ声も聞かれたという。
 同乗していた車掌は、「暴徒の怖さに外に出ることが出来ず、バスの奥に閉じこもらざるを得なかった」と話している。
 その後、近隣住民の通報で警察と救急車がかけつけたが、警察は暴徒を捕らえることが出来ず、アウヴェスさんは救急病院に運ばれたが、明け方に死亡した。死因が気分を悪くしたことによるものか、リンチによるものかはわかっていない。バスにはねられた26歳の男性は足の指の骨折だけですんだ。
 バス会社の同僚や息子のアドリアーノさん(33)によると、アウヴェスさんは模範運転手として周囲から信頼を得ていたという。私生活では飲酒も喫煙もせず、「仕事が生きがいだった」とアドリアーノさんは話している。アウヴェスさんは60回目の誕生日を迎えるはずだった29日に埋葬された。
 また、事件を起こしたバイレ・ファンキ集団は2年ほど前から同地区で毎週土、日曜の深夜から未明までの違法パーティを繰り返しており、ヴィア・スール社もバスの運行障害や運転手たちへの脅迫を問題視していた。また、サンパウロ市の南部と北部では今年の1月と9月にバイレ・ファンキ絡みの殺人事件も起きており、警察による早急な対策が求められていた。