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倫理委=前代未聞の大臣解任要請=ルピ労相の政治生命は?=組閣作業の時期にも影響か=大統領が資料提出求める

ニッケイ新聞 2011年12月2日付け

 労働省疑惑を審議していた大統領府の倫理委員会が11月30日、大統領にカルロス・ルピ労働相の解任を要請する事を全会一致で決めたと1日付伯字紙が報じた。同委員会はこれまでも様々な疑惑の審議を行ってきたが、大臣解任を要請したのは初めてだ。

 大統領直属機関が現職大臣の解任を要請するという事態は前代未聞で、2012年の市長選に出馬する閣僚も含めた異動の時期までルピ労相温存を考えていた大統領がこの要請を受け入れるか否かが注目されている。
 労働省幹部が賄賂を受取っていたとの告発に続き、労相自身が非政府団体(NGO)チャーターの小型機で旅行した事が発覚するなど、労働省とルピ労相を巡る疑惑は引きもきらず、釈明を求められて赴いた国会でジウマ大統領に「愛しています」と告白した事は記憶に新しいが、大統領を愛し、大統領に愛されていると明言して憚らない労相も、倫理委員会では事情が違うようだ。
 ルピ労相と同委員会との確執は、ルピ氏が労相就任の2007年にもあり、大臣職と民主労働党(PDT)党首職のどちらをとるかと迫られた同氏は、党首を一時離任、現在に至っている。
 今回の労働省疑惑の場合、倫理委員会が問題視したのは、労働省幹部の収賄やチャーター機使用などの疑惑に関する釈明が不十分である事。
 労働省と契約したNGOはPDT関係者が関与するものが多く、偽造書類に基づく契約成立や契約不履行にもかかわらず支払いを受けるなどの不正が次々に判明。チャーター機使用についても、NGO代表は知らず、旅行には別機を利用と言いながら、証拠写真を突きつけられ、小型機の費用は党が払った、別機で旅行したといったのは勘違いと説明するなど、釈明の真偽の程は疑わしい。その上、党支部が自分達は払ってないと声明を出すなど、その立場は不安定さを隠せなかった。
 更に、11月末から騒がれているのが、労相就任前の2000〜05年に、リオ市議とPDT下議の秘書室での仕事を兼任し、両方から給与を受取っていたなどの新疑惑だ。1日付フォーリャ紙は、本人は必要な時だけ働けばよい仕事だったと言うが、法律上兼任は認められない職種についていたと明記している。
 倫理委の決定が来年の1月に予定されている組閣作業以前の労相交代に繋がるか否かは大統領の判断次第で、ベネズエラ訪問直前の1日朝、労相とも会談した大統領は、倫理委が解任要請に至った根拠となる資料の提出を要請。ベ国からの帰国は3日深夜か4日未明のため、具体的な動きはそれ以降となるが、民主運動党(PMDB)のロメロ・ジュカ上議は「この決定が致命的か否かは不明だが、少なくとも銃弾とは言える」と言及。労相は「銃弾によらなければ閣外に去る事はない」との言葉で身の潔白を証明しようとしていた。