ニッケイ新聞 2011年12月2日付け
政府が11月30日と12月1日、経済活動の活発化に向け、金融取引税(IOF)引き下げなどの経済政策を発表と1日付伯字紙が報じた。
政府は今年4月、消費のペースを抑えるため、個人融資に対するIOFを1・5%から3%に引き上げたが、欧州経済危機に伴う経済活動の落ち込みを懸念し、2・5%に引き下げる。また、白物家電などの販売促進のため、工業製品税(IPI)などの引き下げも行われる。
ピメンテル開発商工貿易大臣は今回の政策は「今年始めに施行した、経済コスト回避のための消費抑制型の規制を少し緩めることが目的」と語っている。この動きを受け、中央銀行は11月初頭から、各銀行から集まった準備預金の解放を始めた。これは各銀行の個人融資を増やし、年末に向けての消費活動を活性化させるのが目的だ。
また、今回の経済政策には中小銀行を保護する対策も含まれている。国家通過審議会(CMN)は、貸倒引当金に関する規則を中小企業の便宜を図るべく改正した。これにより、これまでの債務不履行による損失は年度内の収支で一括調整しなければならなかったところが、2012年からは15年までと、収支調整の猶予期間が与えられることとなった。こうした政策は、2008年の世界的な経済危機の際、ブラジルで最も打撃を受けたのが中小銀行だったことを受けての対策である。
また、中央銀行の通貨政策委員会(Copom)が11月30日、ブラジル経済基本金利(Selic)を0・5%ポイント下げ11%とした。これで今年の8月から3回続けてのダウンとなる。これは昨今の世界経済危機のショックを軽減させ、消費が冷えるのを避けるため。
このSelicの下落は2012年も引き続くものと見られ、ブラデスコ銀行は9・5%、イタウ銀行は9%まで下がるとの見方を示している。また、基本金利引き下げに伴って懸念されるインフレに関して、通貨政策委員会は「来年のインフレ率を目標中央値の4・5%にとどめることは可能」と見ている。
ブラジル政府によるこうした経済政策は、ジウマ大統領の意向が大きいと見られている。大統領は経済成長こそが危機克服の鍵と考えており、11月25日にも、リオデジャネイロにおいて「経済危機をおそれるあまり、消費を止めるようなことがあってはならない」と発言していた。