ニッケイ新聞 2011年12月2日付け
11月19日、聖南西地区の日本語学校のスポーツ好きな13〜17歳の生徒が参加する『聖南西青空スポーツ教室』(聖南西教育研究会主催)がピラール・ド・スール文化体育協会のグラウンドで開催された。日本語学校の生徒がスポーツを楽しみ、他の学校の生徒と交流を図る目的で年1回、定例会や役員会・委員会で地区の教師が集まる日に行われている。年に5つある生徒参加型行事の中でも、12月の林間学校と並び生徒が楽しみにしているものの一つ。この日は終日曇り空でスポーツをするには最適な天候の下、生徒は最後まで様々なスポーツに取り組んだ。
ピラール・ド・スール日本語学校の9人の生徒はブラジル学校で行事があったが、「せめて午前中だけでも」と頼んでこのスポーツ教室に参加した。他にも用事を断って参加している生徒がおり、人気行事ぶりがうかがえた。
その他コロニア・ピニャール、イビウーナ、ピエダーデ、レジストロ、カッポン・ボニートの6校から50人の生徒が集合し、ピラール・ド・スール日本語学校で体育を指導しているよねむら米村れい麗か華教師(23)らが進行役を務めた。
初めて参加する生徒もいたが、地区行事や各文協の盆踊りなどで何度も顔を合わせている生徒も多く、様々な学校の生徒が参加する地区行事ではよく起こる緊張した雰囲気もなく、最初から元気な笑い声がありリラックスした様子で話を聞いていた。
「日本語学校の行事なので進行は日本語で行う」という方針通り、時折ポ語を交えながらも説明はほとんど日本語だったが、多くの生徒は理解し、わからない生徒も聞き取ろうと頑張ったり他の生徒に尋ねたりと、単なるスポーツの場ではなく日本語学習の一環でもあることが感じられた。
開始後1時間は体を動かす様々なゲームを行い、体や心をほぐした後、メイン競技のポートボールに移った。午前中は男女一緒にパスやドリブルなど基本練習を行い、午後からは男女別チーム対抗試合を行った。 試合中はボールを求めてコートを走り回り、時には衝突したり転んだりするなど白熱した試合が繰り広げられた。またプレーするだけでなく他のチームの試合を見て応援したり歓声を上げたりするなど、敵味方関係なく全員が大いに楽しんでいた。
その後男女混合4チームに分け、グラウンドを全面に使った「じんと陣取り」を行った。いくつかの日本語学校で時々授業後にやっており、年齢の大小を問わず人気の遊び。しかし遊びとはいえ相手の陣をとるため走り回り、作戦を立ててチーム内で声をかけ合うなど、その内容はスポーツと呼ぶにふさわしいもの。皆試合に熱中し集中が途切れることなく、約30分グラウンドを駆け回っていた。
米村教師は「一日中みんなすごくいい笑顔をしていた。毎年いい雰囲気だけどここまで楽しそうだったのはなかったかもしれない」と満足そうに振り返り、レジストロから片道3時間かけて引率してきたレジストロ日本語学校の福澤かずおき一興教師は、「一人の生徒はあまり乗り気ではなく強引に連れて行ったが、参加したらとても喜んで、不参加にしていた林間学校に『参加したい』と言い出した」と生徒の気持ちの変わりように喜びを見せた。