ニッケイ新聞 2011年12月3日付け
二人部屋で同室の日系人とのトラブルが続いている。食べ物を盗られたり、深夜まで大音量でテレビを見たり電話したり…挙げるときりがない。
注意しても認めず、舌打ちしてドアを乱暴に閉めて出ていく。他の住人も食べ物を盗られる被害が出たため退去の署名を集めている。だが、以前から同じ事があったようで、管理者は煮え切らない対応だ。来伯一年も満たないコラム子は「ここはブラジルだから…」と諦めそうになったが、それは間違いだと気付く。
「多文化共生」というと国が抱える大きな課題と捉えがちで、文化の違いの前に個々人の違いがあることを忘れる。結局は足元の問題の積み重ね。小さい部屋の中で悩む自分にやるせなさを感じながら、一つずつ解決していくしかない。
個人の非を文化の違いのせいにしていては「多文化共生」は更に遠のくだけだ。(亀)