ニッケイ新聞 2011年12月6日付け
11月4日付〃ヴェージャ誌〃が労働省職員と非政府団体(NGO)の癒着、収賄事件を報じて以来、メディア攻勢にさらされていたカルロス・ルピ労働相が、4日午後ジウマ大統領と会見し、辞表を提出。当面の後任は副大臣のパウロ・ロベルト・ドス・サントス・ピント氏が務めると5日付伯字紙が報じた。
〃ヴェージャ誌〃の収賄疑惑告発から1カ月となる4日、ルピ労相が大統領に辞表を提出。ジウマ政権7人目、汚職が理由での辞職としては6人目の辞任となる労相は、労働省サイトに「自分はメディアの被害者」との言葉を掲載している。
ルーラ政権下の2007年3月29日に労働相に就任し、4年8カ月その任を務めたルピ氏に対し、大統領はその労をねぎらう声明を出したが、ルピ氏が5日に予定されていた民主労働党(PDT)執行部との会談を待たずに辞表を提出したのは、弁明権も与えずに2カ月も繰返され、証拠さえないメディアによる政治的、個人的中傷に、家族が耐えられなくなったせいだという。
労働省やルピ氏を巡る疑惑報道は11月4日付〃ヴェージャ誌〃のNGOとの癒着告発に端を発しており、同誌が名前を挙げた職員を翌日には解任するなどして、封じ込めが計られた。
しかし、NGOからの賄賂の一部はPDTの選挙資金とされたとの指摘や、問題のNGOの一つがチャーターした小型機で旅行した事を告発された折りに、NGO代表は知らないし、旅行には別機を利用したとの弁明が覆り、小型機使用料は党が払った事を証明する書類が提出できないなど、疑惑は解明されてない。
さらに、11月30日には、ルピ氏がリオ市とブラジリアで2重契約を結んで報酬を得ていたとの告発と、大統領府倫理委員会から大統領への解任要請が重なった。
倫理委員会の解任要請翌日ベネズエラ訪問に出発する事になっていたジウマ大統領は、1日朝、ルピ氏と会談した上で同委員会に解任要請に至った判断資料提出を求めてから旅行。委員会の書類提出は5日の予定で、4日の辞表提出は政府からもPDTからも擁護は仰げないと判断しての行動のようだ。
労働省関係のポストを担当してきたPDTは後任も自党からと希望しているが、労働省は労働者党(PT)も狙っている部門で、大統領も、どの党の誰に託すべきか慎重にはかる必要がある。
労働省疑惑とそれに続く自治省疑惑の表明化以降、2012年1月末の再組閣でのルピ氏とマリオ・モンテネグロ自治相の閣外離脱は当然と見られていたが、最終調整にはまだ時間を要すため、ジウマ大統領は最組閣までの労相代行に副大臣のピント氏を起用。一方、PDTは5日午後執行部が集まり、ルピ氏の党首復活と労相後任者の指名について話合う予定だ。