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サンフランシスコ=疎水工事が各所で中断=PACは選挙宣伝用?=来年から再開と言う政府=めくれ上がった底無残!

ニッケイ新聞 2011年12月7日付け

 2007年に鳴り物入りで始まったサンフランシスコ川の疎水工事が実質的に中断、放棄されており、工事終了箇所ではかなりの損傷も見られていると4日付エスタード紙が報じた。国家統合省は来年には工事再開というが、5日付同紙によれば、水増し請求や工事の遅れなどによる損失は、東側ルートだけで860万レアルに上るという。

 サンフランシスコ川の疎水工事は労働者党(PT)政権の看板政策、経済活性化計画(PAC)の一つで、ルーラ前大統領が官房長官だったジウマ大統領を伴って工事現場を視察する姿は、2010年の大統領選キャンペーンでも使われた。
 ところが、〃北東伯に水を〃との呼び声高きこの疎水工事が、各所で中断。ひどい所は機械や人影もない状態で、コンクリートの壁がひび割れて崩れ落ち、底の部分のコンクリートがまくれ上がった水路さえある。
 ルーラ政権の鳴り物入り事業として始まったPACは、官房長官だったジウマ大統領が統括していたが、現政権の統括責任者はミリアン・ベルキオル企画相。第1期PACの目玉で、第2期も継続されているサンフランシスコ川疎水工事は、川の水をペルナンブコ方面に引くルートを東側、セアラ方面に引くルートを北側と称し、東側2014年、北側2015年の完成が公式の予定。総工費は、当初予算より36%増しの68億レアルに変更されている。
 ところが、この疎水工事の現状は、〃PACの母〃と呼ばれたジウマ大統領の選挙キャンペーン用との言葉を否定できない程の惨状だというのが4日付エスタード紙の報道だ。
 ジウマ大統領の得票率は、昨年の大統領選当時工事が進捗していた地域で90%内外、ペルナンブコ州全体で75%だから、PACの宣伝効果は相当高いが、エスタード紙の取材によれば、軍投入区域を除く全工区で工事が中断しており、工作機械が持ち去られ作業員も解雇された区域や、建設中の橋が鉄骨むき出しのまま捨て置かれ資材盗難が起きた区域など、丸で放棄状態だという。
 総工費の増額は工事の遅れが主因とされているが、5日付エスタード紙によれば、連邦会計検査院(TCU)が昨年6月から今年5月に行った東側ルートに関する調査では、水増し請求やずさんな監査、工事の遅れなどの問題が次々に判明し、損失額は860万レアルに上るという。
 PT政権の目玉であるPACは、導入当初から事業の遅れや不正発生の危険性が問題視されており、サンフランシスコの疎水工事の件を野党が政権攻撃の材料にしようとしているとの報道は6日付エスタード紙。地域住民達も、保健所の移転などの身近な問題も解決されないままキャンプがたたまれ、荒れ果てていく水路の姿などに、不安や不満を募らせている。