ニッケイ新聞 2011年12月7日付け
法定アマゾンのここ1年間の森林伐採量が、1988年の観測開始以来最小規模となった。6日付伯字紙が報じた。
国立宇宙調査研究院(INPE)の発表によると、2010年8月から2011年7月までの法定アマゾンの森林伐採量は6280平方キロメートルで、3年連続の減少を記録した。今回の伐採面積自体はサンパウロ市の4倍にあたり、決して小さくないが、それでも2004年の2万7420平方キロメートルと比べると、4分の1以下に落ちている。
伐採最多は2870平方キロメートルを記録したパラー州だが、それでも前年比で15%減少している。逆にロンドニア州は前年の2倍にあたる869キロ平方メートルを伐採した。これは同州でサントアントニオとジラウの2水力発電所を建設中のため。懸念材料は1126平方キロメートルを記録したマット・グロッソ州で、明確な理由がないまま伐採量が20%上昇している。
メルカダンテ科学技術大臣は5日、政府は今後も気を抜かず伐採抑制に努めると語った。国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)の発表によると、不法伐採の取り締まりで押収された材木は4万2000立方メートルに上るという。また、再生された原生林は795キロ平方メートルにも及んだ。また、政府では、現在のペースで伐採量が減れば、2015年からはアマゾン地区の森林は、排出される温室効果ガス以上のCO2(二酸化炭素)を吸収することが出来ると予測している。
政府がこのタイミングでこの統計を発表したのは、現在、南アフリカ共和国のダーバンで開催されている、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第17回締約国会議(COP—17)や、間近に迫った上院での環境保護法改正案の承認の対策で、国の内外に向けてブラジル政府の環境対策に関する努力の成果をアピールする目的があるとの見方がある。
ブラジルでの森林伐採減少は評価されるべきだが、ブラジルは依然として世界第6位の温室効果ガス排出国であり、現在のまま地球温暖化が進展すると、アマゾン川流域が干上がる恐れがあるという発表も出ている。さらに、今回の結果をたてに、伐採禁止区域の開拓許可や削減などを盛り込んだ環境保護法改正が強行されることを恐れる声もある。