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第3四半期経済はゼロ成長=消費やサービスまで減退=年間3・2%の予想に疑問=年末から回復と財相言うも

ニッケイ新聞 2011年12月8日付け

 地理統計院(IBGE)が6日、ブラジルの第3四半期の経済は前期比でゼロ成長に留まったと発表。7日付伯字紙によれば、予想以上の景気減速を示す数字を受け、政府の今年の成長予想も3・8%から3・2%に下方修正された。

 政府の成長予想が下方修正されたのは、国内消費やサービス、投資まで減退したためで、来年は改善とのジウマ大統領の言葉も、目標の5%達成を保証せず、回復は緩やかと見られている。
 景気減速が最後に表れる失業率は落ち込んでおらず、第3四半期の成長が実質ゼロ、前年同期比でも2・1%となったのは、昨年末から導入された景気抑制政策と欧米諸国を揺さぶる経済危機の影響との見解はマンテガ財相によるもの。年頭は4・5〜5%の予想だった国内総生産(GDP)成長率は、3%以下となる可能性も強まった。
 第3四半期の経済成長を牽引したのは、前期比で3・2%と0・2%成長した農牧業や建設業。輸出が1・8%伸び輸入が0・4%減った事もマイナス回避に貢献した。
 一方、国際的な経済危機の影響を最も受けている工業は、製造業の1・4%減などで前期比0・9%減。08〜09年の経済危機乗り切りに大きく貢献したサービスも、製造業関連の1%減などで0・3%減退。一般消費も0・3%縮小した。
 また、第1四半期と第2四半期は前期比で1・3%成長し、今後の経済の行方を占うのに影響する投資も、第3四半期は0・2%減退し、GDP全体に占める割合を前年同期比0・5%ポイント減の20%とした。
 平均所得は前年同期比2・6%増額し、雇用も維持されているにもかかわらず、国内消費が落ち込んだのは、インフレ高進を懸念した基本金利の引上げなどの金融引締めでローンや個人融資の利用が制限された事や、個人負債(借金)増額などの影響と見られ、マンテガ財相も新たな融資促進策を打ち出す意向だ。
 ただ、先日発表された工業製品税(IPI)減税などの景気刺激策は、08〜09年ほどの効果がないとの見方が一般的で、第3四半期はゼロ成長で終ったものの、年末商戦で景気が上向き、通年では3・2%、来年度は4〜5%の成長達成との財相発言を疑問視する専門家も多い。
 市場関係者の今年の成長予想は3・09%。来年は良くて4・5%、悪ければ1・5%で、下手をすれば、インフレ以下の実質マイナス成長となる可能性もある。来年の行方を占う鍵の一つは拡大し過ぎた在庫が適正水準に戻るか否かで、年末年始に在庫がはければ4%、さもなくば3%との見方もあるようだ。
 第3四半期の政府投資は前期比0・7%減だったが、建設部門は、持ち家政策のミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダなどの経済活性化計画(PAC)推進で来年も成長継続と期待している。