ニッケイ新聞 2011年12月9日付け
ジウマ大統領が7日、麻薬使用者の強制入院や24時間体制の施設の増加などを盛り込んだ麻薬対策を発表した。8日付伯字紙が報じている。
7日発表の計画では、現在92ある、麻薬の消費が多い地区の巡回診療班を、2014年までに308増やすという。パディーリャ保健相によると、診療班は医師と看護婦、心理学者からなり、患者を強制入院させる権利も持つという。大人の麻薬やアルコール中毒患者収容のための精神社会観察センター(CAPS)を24時間体制にした上、408増設。青少年用の施設も116増設する予定だ。入院期間を決めるのはこうした施設の管轄になるという。
また、カルドーゾ法務相によると、麻薬巣窟地帯を管理するための監視カメラの大量設置も考慮しているという。
新しい麻薬対策の予算は、2014年までに40億レアルが計上されている。中毒者の入院施設増加や24時間体制の診療などは、ルーラ前大統領が2010年に立てたプランの中に既に盛り込まれていた。麻薬問題への対処は、労働者党の公約の中でも最も大きなものの一つだ。
だが、連邦心理学諮問委員会と34の心理学団体は、カルヴァーリョ大統領府総務室長に対し、心理カウンセリング施設の運営や強制入院に伴う財政上のリスクに関する警告を行った。同委員会は先月、ブラジル内の68の心理カウンセリング施設に対し、人権侵害の指摘を行っている。
また、強制入院に対する評価も意見が二分している。エスタード紙に掲載された賛成意見は、サンパウロ市クラコランジアにいる200人の妊婦の中毒者を例に出し、手段を講じずに死者や社会への悪影響を増やすことに警鐘をならしており、反対意見は、入院により職場や学校などの一般社会からの孤立が進めば、麻薬問題の根本にある「人間関係の断絶」を解決出来ないと反論している。
連邦警察の発表によると、現在ブラジルでは1日当たり1トンのクラックが消費されているという。また、統一医療保健システムがひと月に対処する麻薬やアルコールの中毒者の数は、2011年は25万人に上り、2003年に行った統計の10倍に増えている。