ニッケイ新聞 2011年12月13日付け
パラー州3分割案に対する州民投票が11日に行われたが、約3分の2が反対票を投じ、分割は否決された。12日付伯字紙が報じた。
開票は12日未明に終了し、西部のタパジョース誕生には66・1%、南東部のカラジャースには66・6%の反対票が投じられたことが明らかとなった。地区別に見ると、カラジャース地区全域で75%以上が分離に賛成し、タパジョースでも、州都候補だったサンタレンでの98・6%を筆頭に賛成票が多かったが、パラー州人口の約6割を占める新パラー地区では反発が大きく、州人口の20%を占める州都ベレンでの94%を筆頭にほとんどが反対票を投じた。また、タパジョース地区内でも、ベロ・モンテ水力発電所のあるアルタミラを含むシングー地域の65%が反対票を投じた。
この結果を受け、かねてから分割に反対していたシモン・ジャテネ州知事は「貧富の差やインフラの不整備は、分割したからと言ってそう簡単に解決する問題ではない」としながらも、予想されるカラジャース、タパジョースからの反発をなだめるように、「今回の投票は、パラー州民に州内で実際に起きている格差の問題を意識させたことで有意義だった」と語った。
今回の分離案却下について、サンタレンの分離促進運動指導者たちは敗因を、キャンペーンの宣伝を手がけたドゥーダ・メンドンサ社が、カラジャースとタパジョースそれぞれの立場の違いを明確にしないまま、曖昧にキャンペーンを行ったことにあると見ている。カラジャースは、豊富な鉄鉱資源を背景にしたヴァーレ社主導の鉄鋼産業という経済的背景を元に独立を望んでおり、タパジョースは交通やインフラの不整備に対する不満の解消に加え、マナウスにより強い親近感を抱く住民たちが19世紀以来ベレンに対し対抗意識を抱いていたという歴史的な背景もあった。サンタレンのマリア・ド・カンポ市長は「ベレンは私たちの地域の貧困問題には無関心なくせに、カラジャースの財源を失うのは嫌がる」とベレンを批判している。
投票結果が判明したあと、ベレンをはじめとしたパラー州北東部の地域は一晩中、パラー州の現状継続を祝うパーティに明け暮れた。その一方、サンタレン市は、今回の投票で分離賛成に過半数の賛成票を投じたカラジャースとタパジョースの市町村と協力して抗戦することを表明した。