ニッケイ新聞 2011年12月14日付け
最近、東洋街の食材店の品揃えがヒドイ。大震災後もしばらくは日本食材の在庫があったが、10月頃にはすっかり中国製、台湾製などに入れ替わってしまった。9月からは西日本産であれば輸入可能になったはずなのに、なぜか戻らない▼丸海、ブエノなど大手食材店をのぞいても、かつては日本製だった納豆が中国製、濃縮つゆも台湾製、カレー粉も台湾製に代わった。いずれも日本語で商品名が書いてあり一見すると分からない。ところが味は別物のような商品まである▼〃傑作〃なのは台湾製の濃縮つゆで、ラベルには「日本」と大書きして、すぐ横に小さく「風味調味露」と付け加えられている。帯も日本語で書かれている。どうやら「日本風味」らしい。日本では「牛風馬肉」というややこしい名前の缶詰がある。味付けが牛〃風〃なだけで要は馬肉だ。つまり、その「露」の味付けは「日本風」だが基本的に「台湾」の味だ▼その瓶を手に、思えば東洋街自体がすでに「日本風」かもしれないと気付き、愕然とした。台湾系店舗といえば東洋食品店、丸海(食材店、パダリア、ポルキロ)、食材店ブエノ、万里(ホテル、食材店、レストラン)、東方大飯店(旧富士パラセ)とその下のケーキ屋、なんでも屋、中華料理店多数と東洋街を席巻する勢いだ。東洋祭り、七夕祭りなどの一般社会への「顔」は依然として日本だがは商店の大半は経営感覚の優秀な台湾系に入れ替わった▼にしても大震災を機に、台湾製や中国製と日本製を入れ替える動きは看過できない。日本移民あっての東洋街ならば日本商品は欠かせないはず。みなさんも商品を買う前によく見て欲しい。(深)