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ニッケイ法律相談=その12=回答者 古賀アデマール弁護士

ニッケイ新聞 2011年12月15日付け

 質問=73歳男性です。先日、旅行仲間の一人が脳溢血で倒れ、数日後にUTIで亡くなりました。彼の甥が面倒を見ましたが、遺書がなかったために火葬や遺産相続にも裁判所の許可が必要で、大変苦労したと聞きました。そこで自分も遺書や火葬を許可する書類を書き残したいと思います。ただしブラジルには家族が誰もおらず、墓地もありません。これらの書類は認証が必要でしょうか。また所有している不動産の鍵などと一緒にどこへ保管すればよいのでしょうか。
 回答=ブラジルに家族がいないということですが、親戚はいるのでしょうか。本人が名乗り出た場合は、従兄弟まで遺産を相続する権利があります。
 直系の先祖、子孫がいる場合は、全財産の半分は義務的に彼らに相続権がありますが、あとの半分は遺書によって自由にできます。 いない場合は、遺書であなたの好きなようにできるのです。赤の他人にも贈与することができます。
 火葬の許可については、登記所(cartorio)で認可されたサイン(reconhecimento de firma)の署名がある、火葬を許可する旨を記載した書類を用意しておけば、火葬場の職員が火葬します。
 それら書類や不動産の鍵はお金を払えば銀行に預けられます。鍵を自由にできる人を指定し、どこの銀行にあるかを遺書に記載してください。
 ちなみに、遺書には2種類あります。登記所で作成する場合、家族内で作成する場合がありますが、より効力を持たせるには登記所で作成した方が良いと思います。
     ◎
 質問=一部屋のアパートを子供名義に変更したいのですが、どのような手続きが必要でしょうか。また、名義を一人だけにするのと、子供全員の名義にするのとではどう違いますか。手続きにかかる費用も教えてください。
 回答=生存中に、子供が複数いるが一人に名義変更したい場合は、ほかの子供が承認のサインをすれば変更できます。ただし、未成年の子供がいる場合、彼(彼女)から権利を取り上げることができないため、ある成人の子供一人の名義に変更することはできません。未成年の子供は、承認のサインをすることができないのです。
 子供全員の名義にするには、子供全員がサインすればできます。
 贈与には、贈与する側と受け取る側のサインがある、贈与書類(escritura de doacao)を作成する必要があります。
 費用としては、ケースによって異なりますが市役所が評価した物件の値段(valor venal)の約12%が相場です。ちなみに売却する場合の相場はその約10%です。

質問の送り先はEメール(ademarkoga@gmail.com)、FAX(11・3208・0733)、手紙(「ニッケイ法律相談」係、Rua Galvao Bueno, 470, 1o. andar, Liberdade, Sao Paulo, SP CEP 01506-000)まで。質問は日本語でもポ語でも可、ただしメールの場合はポ語のみ。質問内容をできるだけ明確にしてお寄せください。