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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2011年12月15日付け

 「K—POPのグループがブラジルで公演するので—」と取材を依頼する電話があった。何故日本から電話してきているのかなと思ったら日本語の流暢な韓国人だった。来伯したコーディネーターも数度取材の確認をしてきた。その熱心さに加え、個人的な好奇心もあって公演に足を運んだ▼会場の周りに行列が出来ていた。その面々を眺めると半数強が韓国系の若い世代だが、残りは非日系。公演中、ハングル語で歌っていたのにも驚いた。来場者4千人。それほどの数ではないが、独自のファン層がいるのだろう。韓国系グループのサンパウロ公演は今回が2回目だという▼黄色い声援が飛び、失神する来場者が出るほど熱を帯びた輪から離れると息子の付き添いで来たという知人の日本人女性が。息子さんに「…このグループは日本でいうと誰なの?」といささか恥ずかしい質問に対する説明は「4MinuteはSPEEDかな。「BEAST」は踊りの上手い「SMAP」。「G.na」は、そうだなあ…あっスペルが違いますよ」とメモを指摘されてしまう始末▼公演前の10日付けエスタード紙では1ページを使い紹介していた。自動車、家電業界もそうだが、韓国勢は宣伝への力の入れ方がハンパではない。日本語の邦字紙でさえ冒頭のようなのだ。今回の公演も初の南米に続き、来年は欧州、米国と〃世界制覇〃の勢い。外向きで元気な感じに好感を持った▼さて。大した宣伝もせず6千人を集めた先月末の『BEGIN』コンサート。完全コロニア向けであったにも関わらず本紙の取材にもそっけない。世界的競争力の違いを見た気がした。(剛)