ニッケイ新聞 2011年12月16日付け
中央銀行が14日、10月の国内総生産(GDP)は9月比0・32%のマイナス成長に終ったと発表したと15日付伯字紙が報じた。GDPが前月比マイナスとなる状態が3カ月続き、第4四半期の成長率への不安の声も出始めている。
今年に入って前月比GDPがマイナスとなったのは4月の0・63%以降5度目だが、10月のGDPが8月から3カ月連続となる0・32%のマイナスだった事は、市場関係者の0・1%のマイナスとの予想を上回り、第4四半期のGDPが第3四半期同様のゼロまたはマイナス成長となる可能性も出てきた。
第3四半期は、7月が0・21%の成長だった後、8月が0・58%、9月も0・11%のマイナス成長を記録した事でゼロ成長となったが、第4四半期がプラスに転じるためには、11、12月の経済が0・6%ずつ成長しなければならないという。
月0・6%の成長という数字は年7・5%の成長を遂げた2010年末に達成したのが最後で、このままでは第4四半期はゼロまたはマイナス成長との懸念の声が上がるのも当然な状況だ。
10月の成長が落込んだ主要因は前月比0・6%縮小した工業で、前月並みとされた小売も、自動車や建設も含めた拡大小売で見れば0・4%の減少となっている。
第4四半期がマイナスで始まった事は、8月以降の経済基本金利(Selic)引下げなどの効果が出るには時間がかかる証拠で、減税などを含む景気刺激策が遅きに失したまたは不充分であれば、2四半期連続マイナス成長を意味する景気後退(リセッション)に陥る可能性も出てくる。
一方、11月の波型ダンボール販売は1・5%伸び、高速道の貨物車両走行量0・7%や電力消費0・2%、車両販売10・4%などの増加は、消費者信頼指数の3・6%向上などと共に景気が上向き始めた証拠で、車両販売は0・9%減少でも、工業生産と小売は11月に0・6%と0・5%成長を達成すると見られている。
それでも、10月の実績発表前は0・7%と見られていた第4四半期の成長予想は0・2〜0・3%程度に下方修正され、年間の成長率も、政府目標の3・8%を下回る2・8%程度と見る関係者も出ている。
欧州は景気後退が避け難い状況で、米国の回復も緩やかという現状から行けば、ブラジルの経済がある程度の落ち込みを見る事も予想されていたが、市場関係者は、来年のブラジル経済を占うのは国内消費と投資で、成長そのものは緩やかとの見方を示しているようだ。
国内消費促進に関しては、マンテガ財相が、市場に流通する資金の不足を否定。必要なら中銀が預金準備分を取り崩して市場に投入する事も可能で、個人や企業、輸出業者への融資資金に事欠く事はないと発言した。