ニッケイ新聞 2011年12月16日付け
2010年の殺人事件の死者数や発生率が、近年の世界で起きた戦争でのそれを上回る規模だったと、15日付伯字紙が報じている。
サンガーリ研究所が14日に発表したところによると、昨年1年間の殺人事件による死者は約4万9900人。これを、州別に人口10万人当たりの犠牲者数(発生率)で見た場合、最も数値の高かったアラゴアス州は66・8人になるが、エスタード紙によると、この数字は2004〜2007年にかけてのイラク戦争での人口10万人当たりの戦争犠牲者の割合64・9人をも上回るものとなる。また、人口1万人以上の市で見た場合、イラク戦争での数値を超える市は67に及び、1位のバイーア州シモインス・フィーリョでは146・4人に上るという。これら67市の内、3分の1は人口が10万人を超える。サンパウロ州内で67市に該当するのは1市だけだった。
また、フォーリャ紙によると、2004〜07年にブラジルで殺人事件での犠牲となった人の数は19万2800人で、世界の主だった12の戦争で亡くなった人の総計16万9500人を上回っているという。
また、14日付G1サイトによると、1980年から2010年までの殺人事件の死者は合計109万1125人。1年当たり3万6370人が死亡という数字は、イラク戦争の年平均1万3千人死亡を上回る。1980年の人口10万人当たりの殺人事件死者数は11・7人だったのに対し、2010年は26・2人まで増えている。
また、殺人事件の発生率が高い地域は、ここ10年で大きく推移している。2000年の調査で2位だったリオデジャネイロ州が17位、同4位だったサンパウロ州が25位となり、数値的にもそれぞれ42・9%、63・2%と大幅にダウンしたのに対し、昨年はアラゴアス、パラー、パライーバ、バイーアといった北東部の州での発生率の急上昇が目立ち、10年前の2〜4倍となっている。2010年に殺人事件の発生率が低下したのは50万人以上の大都市が中心で、発生率上昇は1〜10万人の中小都市に多かったという。