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秋の叙勲=田中信、遠藤浩の両氏に=公邸、文協で祝賀式

ニッケイ新聞 2011年12月16日付け

 2011年度日本政府秋の叙勲を受けた田中信氏(83、山梨)=旭日双光章=と遠藤浩氏(77、福島)=旭日単光章=に対する勲章・勲記の伝達、祝賀式が14日、在サンパウロ総領事公邸で行われ、両氏の家族やコロニア団体関係者ら約30人が祝った。
 「私だけのものではなく、家族や友人、関係者皆のもの」と謝辞で語った田中氏は、73年に来伯。三和銀行代表としてブラデスコ投資銀行取締役に就任。日本勤務を経て85年まで同銀行の専務取締役を務めた。
 監査法人を定年退職後、企業コンサルタント事務所を開設、リベルコン・ビジネス・コンサルティング社パートナー。
 ブラジル日本商工会議所では03年から会頭として、日伯経済交流促進に貢献した。
 印象深かったこととして「04年に小泉純一郎元首相が来伯した際に開かれた日伯経済合同会議へ参加したこと。交流の発展の端緒を見ることができた」と振り返った。
 「来年から日伯社会保障協定と商用数次ビザの延長が現実となる。ハイパーインフレの暗い時代を経て、日伯経済交流の波が再び見られたことは嬉しい。今後は趣味のゴルフ・読書で余生を過ごしたい」と語り、妻ニルセさん(69、二世)とともに受章を喜んだ。
 サントス市に住む遠藤さんは「身にあまる光栄」と感激した様子で挨拶、次男の雅彦さん(50、二世)と孫娘のアケミさん(21、三世)らの笑顔に囲まれた。
 57年、ボリビア・サンフアン移住地へと入植。64年にサントス市に移り、南米銀行の支店に勤務した。
 前会長だった上新さんの意志を継ぐ形で、04年から務めたサントス日本人会会長として、戦時中に接収された日本語学校の返還運動を展開した(06年に返還)。
 現在は同会顧問、サントス厚生ホームの経営委員長を務める。
 「サントスは日語学校の接収、海岸線からの強制移住で日本語教育が遅れた。立て直さなければとの使命感があった」と話し、設立当初から関わる厚生ホームについて「コロニアに欠かすことはできない施設。死ぬまでサントスで暮らすつもりなので、皆とともに歩んでいきたい」と明るい表情を見せた。
 また、祝賀会は同日午後7時半から文協貴賓室でも行われ、約100人が訪れた。