夏本番前に自然災害広がる=近代都市の脆さも露呈=政府が危険地帯地図作成=死者が出るのは避けられぬ
ニッケイ新聞 2011年12月17日付け
夏入り前から南部や南東部での自然災害が続く中、洪水や土砂崩れの危険度が高い地域に住む人は28市17万8525人に上ると政府が発表と16日付エスタード紙が報じた。他方、同日付フォーリャ紙は、「この夏も死者が出るのは避けられぬ」とのアロイジオ・メルカダンテ科学技術相発言を掲載した。
ブラジルの夏入りは22日だが、15日未明に約4時間雨が降った大サンパウロ市圏では、土砂崩れや洪水、交通機関の麻痺などが起き、ミナス州や南大河州でも非常事態を宣言した市が出るなど、各地で災害が広がっている。
コンクリートに囲まれ気温上昇や洪水が起き易いサンパウロ市での警報発令の目安は毎時40ミリ前後の雨というが、15日未明の大サンパウロ市圏の雨は、サンベルナルド・ド・カンポ72・4ミリ、サンカエタノ39・6ミリ、イピランガ地区51・4ミリなど、特に警戒を要するレベルではなかった。
ところが、サンカエタノやサンベルナルド、イピランガ周辺の川は軒並み増水。予期せぬ時間帯の洪水で家財道具などを失った人も多く、都市近郊電車(CPTM)が止るなどの被害も出た。
また、サンパウロ市西部カッポン・レドンドでは、水路脇の民家が倒壊し、女性1人が重傷を負うという事故も起きている。
一方、14日から雨が続くミナス州ベロ・オリゾンテでは、15日だけで12月の平均降水量の半分が降り、1メートルの高さまで浸水した家屋や濁流に流される車の中からの救出劇などの報道が引きも切らない。
南大河州の場合は、降雹被害の出た東部のサンジョロニモなど3市が非常事態宣言を出したが、そこから約120キロの所にあるグアイバ川などは水位が低下し、異常乾燥状態と対照的だ。
夏に自然災害が起き易いのは南部や南東部で、自然災害が起きる危険度が高いと見られる28市(サンタカタリーナ9、エスピリトサントと南大河各6、パラナ4、リオ2、ミナス1)では、土砂崩れなどで被害が出る可能性の高い危険地帯に住む人が17万8525人いるという。
また、これらの市より危険度は低いが早急な対策が必要なのはサンパウロ市など29市(サンパウロ州11、リオ10、ミナス4、エスピリトサントとサンタカタリーナ各2)。09年末〜10年に大災害発生のリオ州アングラ・ドス・レイスや1月に多数の死者が出た同州山間部のノヴァ・フリブルゴは最初の組、リオ市や山間部のテレゾポリスなどは2番目の組に入る。
防災対策の1レアルは事後対策の7レアル分といわれ、リオ山間部の水害発生直後に発表された全国的な監視体制も11月に機能し始めたが、メルカダンテ科学技術相は15日上院で、どんなに監視を徹底しても地区全体の住人を短時間で退去させるのは困難で、死者が出るのは不可避との考えを明らかにした。