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アルゼンチン=軍政時代の虐殺の証拠出現=サンパウロ州でも真相究明委員会発足

ニッケイ新聞 2011年12月17日付け

 軍政時代(1976〜83年)のアルゼンチンにおける政治犯虐殺を示す証拠が次々に出現したと、15〜16日付エスタード紙が報じている。
 15日付エスタード紙によると、同国北部トゥクマン地方にある陸軍の古い武器倉庫の溝の中から15体の遺体が発見された。15人のうち1人は元上院議員であることが判明したが、死体の一部はバラバラにされ、燃料をかけて焼かれたものもあったという。
 また、16日付同紙によると、米州人権委員会(CIDH)がアルゼンチンのセルジオ・トーレス連邦判事に15日、軍政時代にアルゼンチン空軍が行った「死の飛行」の模様を収めた130枚の写真を提出した。
 この「死の飛行」は、逮捕された政治犯たちを飛行機に乗せ、麻酔薬を飲ませて意識が朦朧としている間に上空から海へ落とすというもので、泳げないように手足を縛られた政治犯の姿や電気ショックなどの虐待の痕を写した写真もあったという。また、それらの写真と共に、「死の飛行」による死体が見つかった場所を示す地図などのウルグアイ海軍による資料も送られたという。
 これらの資料の出所は明らかにされていないが、かつてのウルグアイ海軍の写真家で現在はオランダで政治活動を行っているダニエル・レイ・ピウマ氏によるものではないかという憶測が流れている。
 また、同じ15日、サンパウロ州議会が、ブラジル軍政時代(1964〜82年)の政治犯への虐待を人権侵害の立場から調査する真相究明委員会の設置を可決。軍政時代に虐待を受けた経験があり、法案提出者の労働者党アドリアノ・ディオゴ議員を中心に組織される見込みだ。この委員会は裁判所の機能は持たないが、同時代に死亡した政治犯の遺族は、真相究明以上の処罰を求めているという。