ニッケイ新聞 2011年12月22日付け
3月11日に発生した東日本大震災を受け、世界各国の日系人・日系団体から日本赤十字社等を通じて寄せられた義捐金額が、今年9月時点で少なくとも16億1千万円を超えていたことがわかった。海外日系人協会(神奈川県横浜市、田中克之理事長)が「海外日系人」(69号)などで発表した。祖国の悲劇に迅速に反応し、様々な形で温かな救いの手を差し伸べたのはブラジルのコロニアに留まらなかった。
同協会の調べによると、金額的に最も大きかったのはアメリカ日系社会から送られた7億6千万円、次いでブラジルが6億円と群を抜く。カナダ(9千)、メキシコ(5600)、パラグアイ(3200)、アルゼンチン(2500)、オーストラリア(2100)、ペルー(2千)、ボリビア(600)と続く=単位は万円=。
同協会に義捐金を寄託した団体は少なくとも30団体以上に上り、ブラジルの団体以外ではボリビアのサンフアン日本ボリビア協会、サンフアン学園、ボリビア・ラパス日系人協会、サンタクルス中央日本人会、パラグアイからは日本人会連合会、都道府県人会連合会や各県人会、ラパス日本語学校などが挙げられる。
ハワイ州では州知事の呼びかけでキャンペーン「アロハ・フォー・ジャパン」が立ち上がり、街頭募金、コンサート、チャリティーイベントなど様々な活動で義捐金が集められた。7月末で同キャンペーンとハワイ日米協会が集めた総額は650万米ドルを超えた。
また、マウイ島にNPO「アロハ・イニシアティブ」が設立され、「ハワイに避難しませんか」運動を同島副郡長が推進。被災者の心の傷を癒すことを目的に、7月に98人を同地に招いた。
またハワイ日米協会主体で立ち上がった「レインボー・フォー・ジャパン・キッズ」プロジェクトでは、7月に東北3県の20人の中学生を1週間ホームステイに受け入れた。
ロサンゼルスでは主要日系団体が連携を取り、震災発生3日後から本格的な募金活動を展開した。在ロサンゼルス総領事館、米日協会、南カリフォルニア日米協会、リトル東京防犯協会、邦字紙「羅府新報」などを経由し、広範囲から支援が寄せられた。
サンフランシスコでは、地震発生当日に同地の大型日系団体「北加日本文化コミュニティセンター」が募金活動を開始した。
約5カ月間で約2億7600万円が集まったほか、シアトルでは震災の翌日、日系社会内の被災地支援ネットワーク組織「シアトル・ジャパン・リリーフ」が発足。米国赤十字社など3団体を通じてオンラインで募金できるシステムが構築され、25万ドル以上の義捐金が寄せられた。
そのほか、カナダのトロントでは震災直後に基金が設立され、7月25日時点で109万6千ドルが集まり、オーストラリアでも各地で活発に街頭募金、チャリティー活動が展開された。
マレーシアでも多くの団体や学校、企業、政府機関が募金活動や慈善事業を行い、日本大使館、クアラルンプール日本人会に義捐金が寄せられたという。