ニッケイ新聞 2011年12月23日付け
【既報関連】最高裁のリカルド・レワンドスキ判事が19日に出した国家法務審議会(CNJ)の捜査停止命令が、同判事に降りかかる火の粉も払う事になったとの21日付フォーリャ紙報道後、司法当局の内部分裂が一段と悪化、最高裁長官がCNJ監査官告発もにおわす発言をしたと22日付伯字紙が報じた。
レワンドスキ判事が差し止めた捜査は、サンパウロ州の上級判事(デゼンバルガドール)17人が90年代に1700万レアルを不当に受取ったとの疑惑に関するもの。裁判官の組合からの訴えで、捜査停止を命じた同判事も疑惑の対象の1人だ。
問題の捜査は、CNJの監査官、エリアナ・カルモン高等裁判事が命じたもので、サンパウロ州裁判所での捜査停止命令は、自動的に全国22の裁判所での捜査停止に繋がる。
21日付フォーリャ紙によれば、2010年7月に当時のジウソン・ディップ監査官が命じた資産調査の対象は、労裁や軍裁を含む州レベルの裁判所判事や職員21万6800人で、給与額にそぐわない資産増加などの疑いが指摘されたのは3438人。これら3438人は、サンパウロ州、リオ、ミナス、バイア、パライバ各州と連邦直轄区に集中しており、皮切りとなるサンパウロ州での解明捜査は今月1日に始まった。
この動きに反発したのが裁判官の3組合で、CNJには裁判官らの犯罪審査権はなく、個人情報捜査は違法と訴えた。本来の担当はジョアキン・バルボーザ判事だが、不在の同判事代行で捜査停止を命じたのがレワンドスキ判事だった。
CNJ委員長でもあるセザル・ペルゾ最高裁長官は、レワンドスキ判事同様、当時のサンパウロ州の上級判事で、自分も70万レアル受取ったと明らかにした上、レワンドスキ判事の判断は正当と評価。CNJの捜査は権限を逸した行為として調査の可能性もほのめかした。
これに対し、カルモン監査官は、資産状況は確定申告などから掴む事が出来、給与などの支払い明細の監査も、裁判所などの管理機関には許されており、違法捜査にはあたらないと反論。
マルコ・アウレリオ判事の暫定令で権限が制限された19日以降、CNJに届いていた裁判官に関する疑惑などの訴え210件中152件についての資料を、内部監査のために各州裁判所へ送付した同監査官らは、州裁判所では身内を裁く事を嫌って監査が進まない事も見通している。
「法衣を着た悪人がいる」とのカルモン発言以来続く司法当局内の緊張が増すと共に、国民の司法への信頼も揺らぐ状況は少なくとも2月の最高裁審議再開まで続くが、不正摘発で資格を疑われていた上議の就任を最高裁が認めて1週間後の21日、上院法政委員会がCNJの権限強化案審議を拒否するなど、司法と立法の癒着を疑わせる報道も流れている。