ニッケイ新聞 2011年12月23日付け
17日、聖南西連合会の定例会の最後に、野球部長が手を挙げて「今年限りで職を辞する」と宣言した。野球部の将来は風前の灯火なのだという。伝統的にスポーツが盛んな地域であり、野球チームも15年ほど前まで13チームもあった。ところが現在ではイビウナしか残っていない。今の子供には練習が厳しすぎるのだろうか▼野球が消え始めて数年した03年、JICA派遣のシニア小田幸久さんの影響で各地に和太鼓部が創立され始め、最後の頃には約50団体も指導していた。文協の国士舘センターを練習拠点としていたので、聖南西には9チームほども生まれ、非常に盛んな地域になった。かつてはバットを振った子供達が今では和太鼓を叩いている訳だ▼同じ頃、02年から若者向けの活動、YOSAKOIソーランの第1回大会が始まった。今では和太鼓とYソーランが両輪となって若者を日系活動に惹きつけている。人前で披露する機会が多く、カッコいい。小学校から大学生までが集まって練習に励み、学校の冬休み中に合宿までして7月末の全伯大会に挑む▼一方、聖南西では最も多い時期で日語学校が22校もあったが、現在は12校だとも聞いた。和太鼓やYソーラン、漫画アニメ人気を追い風にして、日語学校生徒を増やすような工夫ができないだろうか▼日本文化継承活動は時代によって形が変遷する。スポーツでも音楽でも日語でもいい。活動は何にせよ、日系の子供が集まって一緒に楽しい時間を過ごすことが大事ではないか。将来の世代が日系アイデンティティを育むには、子供時代に日系らしい豊かな時間を過ごすのに勝ることはない。(深)