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サンパウロ市中央部=ファヴェーラで大火災=2人が死亡し4人が負傷=放火の女性のリンチ騒ぎも

ニッケイ新聞 2011年12月24日付け

 22日朝、サンパウロ市中央のファヴェーラで大規模な火災が起き、ファヴェーラ内の住居の約半数を焼失、死者や負傷者も出たと23日付伯字紙が報じている。
 カンポス・エリージオスのファヴェーラ・ド・モイーニョでの火災発生は朝9時過ぎで、総面積の20%にあたる6千平方メートルを焼いた火は、約600人が住む隣の廃屋ビルにも及んだ。
 死者が出たのは火元に近いビルの中で、22日に1人、23日にも1人が焼死体で発見された。遺体の身元は明らかにされていない。また、ビルから飛び降りた3人が負傷し、1人は骨折、他の2人は一酸化炭素中毒をの症状を呈している。
 また、消防士のリカルド・ド・コンセイソンさん(38)は、住人が火災の際に窓から投げ出したテレビが頭を直撃し、病院に運ばれたが、背骨を骨折した可能性があるという。また、ビルの屋上に逃げた11人はヘリコプターで上空から救出された。
 住人の一人は火災後すぐに消防に通報したが、電話がつながらず、消火作業が遅れた。消防が通報を受けたのは10時8分で、14分には最初の放水車が到着。火災は午後1時頃鎮火した。
 また、22日夕刻、放火犯と見られる女性が現場に戻り、住人たちからリンチにあう寸前、救出された。クラック中毒と見られる女性はこの日の朝、「家に火をつけた」と叫んでいたのを住人たちから目撃されていた。放火は過去にも試みられたが、その時は大事にいたらずに済んだという。多数の住民に追い詰められていた女性は、ファヴェーラの代表者の手で連れ出され、市警備隊に引き渡された。
 この火災で焼きだされた世帯は200とも380ともいわれ、600人近いファヴェーラ住人が住居を失った。
 このファヴェーラはパウリスタ都電(CPTM)7号線と8号線の線路に囲まれた場所に位置し、カサビ市長が10月に発表、13年から施行される都市再開発のための居住プランの対象地域でもあったため、現場に急行した同市長は、ファヴェーラに住む全ての住民をただちに移動させると発言。立ち退きは家賃補助か仮設住宅への移動の形で行われるが、同プランに使える家屋は不足しているため、住民たちが移転先を選ぶまでには時間がかかりそうだ。
 また、火災の時間に路上生活者や資源ごみ回収業者のクリスマス行事参加のためにサンパウロ市に滞在していたジウマ大統領は、救出作業の実際を見、支援の必要を確認するために同行の大臣3人を現場に派遣した。