ニッケイ新聞 2011年12月24日付け
【北米報知=11月30日】3月に起きた東日本大震災の津波により、東北沿岸の住宅施設、木材、船舶、車両などが太平洋に流され、その集合体は幅1300マイル、長さ360マイルでワシントン州の5倍の面積まで広がっている。太平洋を東へ流れ、数年以内にワシントン州沖に流れ着くと予想されている。
漁業や観光業などワシントン州沿岸地域は、州内においても重要な産業地域となっている。海上では各種魚類、浜辺では貝類などのゲームフィッシングが行われ、現在はレーザークラム捕りが約2週間に1度解禁され、オーシャン・ショアーズやウエストポートなどの沿岸地に足を運ぶ市民も多い。
北にオリンピック国立公園があり、夏には休暇を利用し、アクティビティーが盛んだ。初冬から初夏にかけてはメキシコとアラスカを回遊するコククジラの移動海域にもなる。
米環境保護庁(EPA)と米海洋大気庁は毎月、海に押し出されたがれきの位置情報などを発信している。震災直後の調査では、流れに乗って西海岸に到達するのは2014年と見られていたが、ハワイ大学による調査では、早くて来年3月にハワイに到着、13年3月に米西海岸に着岸するとしている。
当地においても、産業のみならず生息動物などの環境への影響の懸念から対策案が講じられている。マリア・カントウェル連邦上院議員は、この問題を「特殊で珍しい脅威」とする。
「レストランの従業員から観光客まで、すべての人に何らかの影響をもたらすことになります。我々はただ黙って待ち構えているわけにはいきません」と語り、産業の大部分を海路に頼るワ州にとって、地元産業における重大案件と位置付けている。
今後も積極的に解決策を練る必要があるとし、米政府とも協議を進めている。
EPAの月例報告などはwww.epa.gov/region9/marine-debris/ へ。(N・A・P)