ニッケイ新聞 2011年12月27日付け
2012年の国内総生産(GDP)は、ジウマ大統領の掲げる年5%成長には程遠い3・5%との声が政府内でも出ていると21日付エスタード紙が報じている。
市場関係者の間には、市場の現実から見れば、3・5%という数字も経済活動が最も順調にいった場合に達成できる上限との見方もあるが、ギド・マンテガ財務相は、楽観的観測を保つことをGDP上昇のための戦略と位置付けている。そこには、低い予想値を出すことによって投資が冷え、経済が悪循環に陥るのを避けたい政府の思惑が働いている。それに加え、政府の経済スタッフは、マンテガ氏が導入に向けて準備中の新たな融資刺激策が、経済成長を活性化させる原動力になると評価している。
だが、LCAコンサルタントのブラウリオ・ボルジェス氏は、今年後半の経済活動は減速化が著しく、2012年の経済成長を後押しするには不充分だと予測する。同氏による2012年の成長予測は3・1%で、「第4四半期の経済も停滞は免れないだろう」と発言している。
またボルジェス氏は、2008年末から09年にかけての経済活性化で功を奏した電化製品などの消費は、2012年の経済活性化にはつながらないだろうと見ている。「国民の多くは借金を抱えており、次の製品を買うだけの経済的な余裕はないし、冷蔵庫のような製品には7年程度の購入サイクルがあり、2008年に買ったものを買い換える時期ではない」と分析している。
一方、中央銀行のアレッシャンドレ・トンビニ総裁が20日に2012年の予測を発表し、インフレ率は2011年に比べて小さく、経済成長も拡大が見込めると語っている。同氏によると、11年の経済活動は、7月〜9月に底を打ち、現在はそこから回復に向かっており、これまでに行われた投資刺激策や減税、コモディティ価格の低下などが経済状況の好転につながってきている。また、11年8月からの経済基本金利引き下げ効果が12年にはよりはっきりと現れてくるとみている。
12年のインフレに関しては23日付本紙でも既報の通り、投資が促進されても、世界的なデフレ傾向の影響もあり、11年ほど高くはならないとの予測する経済専門家も多い。
成長思考を常とするジウマ大統領は、16日に行われた年間総括の場で、12年のGDPの成長予測は4・5〜5%で、インフレ高進のない5%成長が目標と語っている。