今年は3月に発生した東日本大震災の悲報にコロニアが包まれた1年だった。母国の復興を願い、各団体による震災支援活動が年間を通して行なわれた。一方、商用数次ビザの緩和、社保協定が結ばれるなど、日伯交流の明るい未来を感じさせるニュースもあった。アマゾンに理想郷建設の夢と共に入植した高拓生の80周年では、アマゾナス州政府が戦時中の日本人迫害を正式謝罪する歴史的一幕も。コロニア御三家の援協、県連に一世会長が返り咲き、世代を超えた団体経営の時代を感じさせた。日系人の政界への道を切り開いた田村幸重、上野アントニオ、安田ファビオ氏らが鬼籍に入っている。日夜、取材に駆け回った編集部が選ぶ「コロニア10大ニュース」をお届けする。
3月11日の東日本大震災直後から、サンパウロ市の各日系団体や県人会はもちろんアマゾン地域、北東伯、ノロエステ、パラナ、リオ、南麻、サンタカタリーナ州など、まさにコロニアを挙げた募金活動が展開された。
集まった全体の義捐金額は6月末時点の本紙の調査で、少なくとも約1160万レ(約5億9千万円)に上ったことがわかった。
調査に漏れた団体、寄付しても公表していない団体を含めると総額は6億円を超えるとみられ、日本に対するこれほどの義捐金がコロニアで集まったのは終戦直後のララ物資運動以来となった。
主要日系5団体(文協、県連、援協、商工会議所、日伯文化連盟)による募金キャンペーンでは約1億7930万円が集まり、東北3県のほか被災地でない県人会も浄財を送った。
県連日本祭りでは震災写真展が開かれ、サンパウロ州政府との連携プロジェクト「SOS Japan」も発足、支援イベントが実施された。
特筆すべきは連邦政府からの50万ドルを筆頭に一般の非日系人からも多くの支援が寄せられたことだ。既に募金は打ち切った団体が大半だが、複数の団体が引き続き別の形での支援を表明している。
一方、国際送金の手続きに手間取り、一般ブラジル社会に支援を呼びかけることができなかった文協の脆弱な体制が露呈された結果ともなった。