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新年を迎えるにあたり=ブラジル日本都道府県人会連合会会長 園田昭憲


ニッケイ新聞 2012年1月1日付け

 2011年は、世界を震撼させた東日本大震災と、それに伴う福島原発事故という未曾有の幕開けの年でありました。
 青天の霹靂ともいえる大事件を目の当たりにし、ブラジル日系社会も祖国日本への思いを胸に、義援金活動を速やかに展開しましたが、同じく1億9千万レアルのブラジル国民の暖かい手は胸に打つ思いであり、永劫忘れてはならないことであります。
 ブラジル全土に数百を越す日系団体が存在し、各々が日本の惨事への思いを込め、思いつく限りの援助活動等を展開いたしました。
 わがブラジル日本都道府県人会連合会も、主要団体と足並みをそろえ、義援金運動を立ち上げ、世界最大規模とも言われる在外邦人最大の日本祭りの副題に『甦れ・美しき日本』と題打ち、宮坂国人財団などの協力の下、百枚を越す震災パネル展、観光を喚起するパネル展、日本語学校生徒による寄せ書き展示、SOS・Japan義援金など、僅かではありますが、祖国への思いを伝える企画を実施いたしました。
 この大事件は、日本にとっては正に国難であります。移民が始まって103年、長きにわたり、祖国からの暖かな思いは決して忘れることは出来ません。この大事件を機に、僅かなお返ししか出来ませんが、精神的なことも含め、出来る範囲の日本への対応を模索していかなければなりません。
 BRICsにたとえられる養国ブラジルは、ワールドカップ、リオオリンピック、そして2022年の独立200周年まで、洋々とした道を歩くことになると思われます。
 それに伴い、日伯間は第三波とも言われる様々な交流がますます盛んになることが予測されます。ある意味で各県と密接な関係にある在ブラジル都道府県人会と当会の役割はますます不可欠となっていくでしょう。それに要する役割と分担とを、中長期的視野を持って進めていく必要があります。
 今の日系団体は一世の減少に伴い、大きな過渡期、転換期であると言われますが、代表的団体がよく理解し合い、目的を組み立て、目線を見極め、実践していくことと、牽引車の役目を果たすことで、立ちはだかる諸問題を乗り越えていけるのではないかと確信しています。