ニッケイ新聞 2012年1月3日付け
2011年の国内総生産(GDP)で、ブラジルが英国を抜いて世界6位になることが明らかになった。12月27〜29日付伯字紙が報じた。
英国の経済ビジネス・リサーチ・センター(CEBR)の発表によると、2011年のブラジルのGDPは2兆5180億米ドルとなる見込みで、この数字は英国の2兆4810億米ドルとの見込みを上回る。その結果、ブラジルは米国、中国、日本、独国、仏国についで第6位の経済大国となった。
この背景には2008年から続く経済危機による欧州諸国の経済成長の停滞があるとされるが、フォーリャ紙は、今回ブラジルが英国を抜いたのは、そうした欧州での状況に、「高インフレ」「国内での生産増」「レアル高」というブラジルでの三つの要因が加わったからではないかと見ている。
また、2015年までには、ブラジルが仏国を抜いて世界第5位になるだろうとの予測も出ている。ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)世界経済センター所長のカルロス・ランゴーニ氏によると、ブラジルのPIBが年平均4・5%成長し、仏国が0・5%程度の成長で終れば、14年にも順位が入れ替わるという。
さらに、CBERの予測によると、2020年にはブラジルは露国やインドに抜かれはするものの6位を維持。その場合、上位6カ国は、米国、中国、日本、露国、インド、ブラジルとなり、いわゆるBRICs諸国が欧州諸国を上回り上位を独占すると見ている。
今回、ブラジルが英国を抜いたことに対し、CBER所長のダグラス・マクウイリアムス氏は「ブラジルがサッカーで欧州諸国を倒したのは随分昔だが、遂には経済のフィールドでも打ち負かした」と賞賛する一方、英経済紙フィナンシャル・タイムズは「BRICs諸国はまだ一人あたりのPIBが低い」とし、個人平均のPIBではいずれも世界50位以下のBRICsの現状に苦言を呈している。
また、マンテガ財務相は「世界第6位という結果は、ブラジルの国民の生活レベルを反映しているものではない。ブラジル民の生活レベルが欧州に追いつくには、まだ10〜20年かかる」とし、この先もまだ公的機関や保健、教育などの充実のために経済成長の持続が必要だと語っている。