ニッケイ新聞 2012年1月4日付け
最低賃金が622レアルに引き上げられた直後の2日と3日、1月は税金や授業料その他の支出がかさむから、家計管理に注意をと呼びかける新聞記事やニュースが続いた。
今年の最低賃金は545レアルから622レアルに14・13%引上げられ、1日から適用が始まったが、子供がいる家庭では授業料値上がりに教材や文具の購入、一般家庭でも、自動車所有税(IPVA)や土地家屋税(IPTU)の支払いや公共交通料金値上がりが気になるのが1月だ。
私立校授業料は今年も平均10%以上の調整が行われ、リオ市やサンパウロ州カンピーナスなどでは公共バス料金の値上がりなどなど、家計を圧迫する材料は事欠かない。
このような状況を受けて、すでに借金を抱えているか否かに関わらず、年明け早々から赤字まみれにならないよう呼びかけたのは、2日付フォーリャ紙や3日朝のTVニュースだ。
車を持つ人の場合、IPVAと共に支払う必要があるのが強制保険。IPVAの値上げ幅は自治体毎に違いがあるが、資金繰りにゆとりがある人にお勧めなのは、3%の割引がある一括払い。
サンパウロ市のIPTUは昨年のインフレ並みの6・45%調整だが、こちらは10回払いだから、6%の割引を利用した場合との差はほとんどない。
専門家は、紙を用意して収入と支出を一覧化することを勧めているが、支出が収入を上回る場合も、クレジットカードや特別小切手は利息が高いので、低金利の個人融資などを探す方が得だ。
すでに借金を抱えている人は、返済分を考慮した資金計画を立てるとともに、世界一高い年利237・9%という利息をとられるクレジットカードの未返済分は、より低金利の融資などに切り替える方が有利。カード利用は便利だが、自分の身の丈にあった額に抑えないと、どんどん膨れる利子に泣くことになる。
一方、2011年第1四半期の融資利用は、都市周辺部の若者や農家の人中心との記事は2日付エスタード紙。クレジットカードも含む融資の18・3%は都市周辺部の若者が利用し、農家の利用は14・9%。どちらも利用率が4年間で3%ポイント強増えている。
貯蓄も余りない若者や収入にばらつきの出る農家の融資利用増は、政府の消費奨励で、車やバイク、住宅購入時の融資利用審査が簡便化されたことも反映。一方、背伸びした消費や資金計画の不備などによる債務不履行も増えている。
12月26日付フォーリャ紙によれば、国民の65%はゆとり分を貯蓄にと考えるが、35%は貯蓄より買い物や旅行を好む。この割合はどの所得層でもほぼ同じで、家族の有無による差もわずか。専門家は所得の最低10%を貯蓄するよう勧めているが、計画性に乏しいブラジル人にどの位受け入れられるかは不明だ。