ニッケイ新聞 2012年1月4日付け
フェルナンド・ベゼーラ・コエーリョ国家統合相が、災害防止対策費のほとんどを自身の出身州であるペルナンブーコ州に与えていたことが判明したと、3日付エスタード紙が報じている。
2011年にペルナンブーコ州向けに認可された災害防止対策費は2550万レアルで、豪雨による土砂災害が起きた2位パラナ州の180万レアルの14倍にあたる。昨年認可された災害対策費は総額2840万レアルだから、ペルナンブーコ州には9割が割かれた計算になる。
国家統合相はペルナンブーコ州ペトロリーナ市の市長を3期つとめ、今年行われる州都レシフェの市長選挙への出馬が噂されている。また、同州の知事はベゼーラ氏が所属するブラジル社会党(PSB)党首でもあるエドゥアルド・カンポス氏で、ベゼーラ氏はカンポス氏への忠誠ぶりでも知られている。
今回と同様のことは、前任者のジェデル・ヴィエイラ・リマ氏の在任時にも起きている。ジェデル氏の出身地バイーア州は同氏在任中の3年間に災害対策費の65%を受け、2009年には90%を占めた。また、その間に同州の市町村に与えられた資金援助のうち、80%以上は同氏の所属するブラジル民主運動党(PMDB)市長のいる市に支給された。
国家統合省を巡る資金の動きに、非政府団体の経済学者は「ここ数年、災害対策費は資金流用の温床状態だ」と警告。災害対策費は、昨年も事後対策費10億レアルに対し、防止策経費は1億3800万レアルと支出額が少ない上、自治省との役割分担があいまいな部分もある。