ニッケイ新聞 2012年1月4日付け
【らぷらた報知11年12月20日付け】在アルゼンチン県人会連合会主催の「第9回沖縄祭り」が去る10日午後7時過ぎよりうるま園で行われ、約3千人が詰めかけた。この日は天気に恵まれ、観衆が次第に会場を満たして行ったが、日本政府の特派大使として、クリスティナ・フェルナンデス大統領の就任式に派遣された菅直人前総理が、「沖縄祭り」に顔を出されるニュースがいち早く広がり、会場は期待と緊張に包まれていた。現役ではないが、前総理が夏祭りの場に登場するなど、前代未聞のことであった。
午後7時45分、2台のオートバイに先導され、菅前総理に石田仁宏駐亜大使が同行して到着、サイン帖に署名のあと、琉球國祭り太鼓グループの色とりどりの幟(のぼり)の中を万雷の拍手を受けながら招待席へすすんだ。
テレビや新聞ニュースでお馴染みの菅前総理であるが、紫色のセーターを着け、すっかりリラックスしてにこやかな顔だった。そのほか、秋吉勝秀公使、植松聡領事、佐藤仁彦情報文化担当官、米須清文FANA会長、松谷暁芸叙勲者会会長、新垣定二沖県連会長、新里孝徳元会長、新里真一元会長が同席した。
日本の前総理を前にして、空手道場の型の模範演技では、子どもから成人までいつもより気合の入った実技を披露した。
サルミエント日本人会協力の「河内男節」となり、櫓太鼓の勇ましいリズムで観衆も参加して踊り始める。やがて菅前総理、石田大使も踊りの輪に加わる。菅前総理の手つき、足運びは様になっていなかったが、瀬底アリシアさんの指導でだんだん型ができてくる。
警備担当サイドから、食事中の写真は遠慮して欲しいという要望があり、それ以外は自然な流れに任せましょうということになっていたが、今は携帯電話でも撮影機能を持っている時代、近くから写真を取る人が増えるだけでなく、気さくな前総理にお願いして一緒の写真に入るとか、警備サイドも落ち着けなかったはずである。
食事はアサードが提供され、桜の植樹式のあと菅前総理から次のような挨拶があった。「日本の東日本大震災、津波、原発事故にアルゼンチンの皆様からご支援を受けたことに、改めてお礼申し上げたい。日本人の強い意志で打ち勝って行こうと皆頑張っているところ。また皆様が、アルゼンチンの中で尊敬される日系人として認められていることは、ご苦労と勤勉の大きな成果であり、皆様の努力が両国の友好関係を支えている」。午後9時半過ぎ、菅前副総理は原発問題視察で欧州へ移動するため、空港へ向かった。
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前日の9日夜、菅前総理と各日系社会団体代表との懇談会が大使公邸で催された。うるま園でも隣席に座り、説明役としてずっと一緒だった新垣沖県連会長に懇談や歓談の内容を聞くと、「飛行機からアルゼンチンを上から見て、『国土の広さにびっくりした。将来の国だ』として、近いうち奥さんと一緒に来たい、とのことだった」と会話の内容を要約した。