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防災費の管理は官房長官に=ジウマ大統領が即決断=国家統合相への疑惑回避策=危険地域で災害発生の中

ニッケイ新聞 2012年1月5日付け

 【既報関連】2011年の防災対策費の90%がフェルナンド・ベゼーラ・コエーリョ国家統合相の出身地、ペルナンブコ州に払われたとの3日付エスタード紙報道後、ジウマ大統領が同対策費払出しの管理責任をグレイシー・ホフマン官房長官に委譲した。

 4日付エスタード紙によれば、3日付同紙掲載の記事の内容を重く見たジウマ大統領は3日朝、パラナ州で休暇を過ごしていた官房長官を呼び戻し、国家統合省管理下にあった防災対策費払出しの管理を委ねた。
 同長官への電話の前にミナス州知事に連絡し、同州の水害の様子を聞いた大統領は、53市が非常事態宣言を出し、死者も6人に上る状況と共に政府の対応のあり方を懸念。官房長官に早急な対応を求めた。長官も、ブラジリアに戻る前に、国家統合省の技術者や国家防災局、科学技術省の関係者らの緊急会合を手配した後、リオ州知事に電話をかけている。
 官房長官が技術者らに確認する必要があったのは、防災対策費を必要としている自治体や払出しの実態、判断基準などだが、12月に統合省が発表した緊急対応の必要な56市のリストには、3日に土砂崩れなどが発生し死者も出たミナス州オウロ・プレットや、大晦日から2日までに一月分の雨が降ったリオ山間部のノヴァ・フリブルゴなども入っている。
 ところが、これら56市中、11年分の防災対策費を受取ったのはサンパウロ市とサンタカタリーナ州フロリアノポリスのみで、前政権での防災対策事業分の支払いを含めても9市。防災対策費の9割が集中したペルナンブコ州で同リスト掲載の自治体はゼロだった。
 州単位では11年分の防災対策費を受け取ったのは7州で、総額2897万8541レアル中2551万レアルがペルナンブコに支払われた。
 11年分の防災対策費に前政権の事業費を合わせた支出額は、ペルナンブコ3424万レアル、バイア3223万レアルで、サンパウロ州の1628万レアルやサンタカタリーナの1344万レアルなどとの差は大きく、ベゼーラ氏の前任者の出身であるバイアにも支出が集中したことが明らかだ。
 ペルナンブコへの防災対策費は、昨年3月の水害時に大統領からどんな援助が必要かと尋ねられた同州知事が、ダム建設費の半額負担を求め、大統領も承認したものだというが、2550万レアル中2510万レアルは統合相が市長選出場を考えるレシフェ市、残りは市長を務めたペトロリーナ市に流れたとされ、現レシフェ市長が所属する労働者党などもベゼーラ氏を批判している。
 ミナスやリオ、エスピリトサントなど8州で、洪水や土砂崩れなどの水害が報告されている間も休暇を決め込んでいた統合相は、3日に大統領の電話を受け、4日に首都に舞い戻るという。