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亜国=民族を越えた音楽交流=日亜学院とユダヤ系学校=日語楽曲を合同演奏録音

ニッケイ新聞 2012年1月7日付け

 【らぷらた報知=2011年12月15日付け】去る11月25日午後、ブエノスアイレス市の日亜学院の5年生と、すぐ向かいに建つユダヤ系のORT学校の音楽プロダクション学科学生との初めての交流が、ORT中高等工業学校の大講堂にて開催された。
 日亜学院の児童が日本語で歌い、ORTの学生がエレキギター、ドラム、キーボードなどを伴奏した。そのリハーサルから音楽プロダクションを録音するまでの過程をビデオカメラで撮影した。最後に音楽プロダクション専門学生が音響装置を駆使して、音の調整、ミキシングなどを行い、「上をむいて歩こう」と「輪になっておどろう」の録音を行った。
 同学院では現在JICAシニアボランティアの新田佳世先生が音楽教育を実践している。最近はすでに家庭で日本語を使用していない生徒達は、日本の歌をそのまま聞かせても意味の理解だけではなく、発音すら困難である。
 また従来からの日本の音楽の曲目選択を現在の子ども達の感覚に合う、歌ったり合奏しやすい日本の曲を選ぶのに苦心しているという。選曲された楽譜だけではなく、歌詞をスペイン語翻訳し、これからの音楽教育に役立てるため、学校に残そうと取り組んでいる。
 当国の音楽教育についての知識を深めるために、いろいろな学校の音楽教育を見学して研究をおこなっていた。
 一方、ORT中高等学校では音楽の勉強だけではなく、他に類を見ない音楽プロダクションコースがある。常に実践的かつ創造的人材を輩出するのを目指している。
 日亜学院にとっても卒業生の何人かが進学先に選択する学校だ。弟(妹)は同学院の小学部に行きながら、長兄はORTに進めるなどの地理的便利さがあるからだ。長年「お向かいさん」であり、存在はお互いに知っているが、実は交流がなかった。
 今回の学校間音楽交流の中心となったアンドレス・ブテルマン先生は「太鼓の音が学校から聞こえたりして、聴きながらテンポをとったり日本音楽は音楽的にどんな風なのか以前から興味があった」と語った。
 今回の交流の担当となった新田先生とアンドレス先生同士は、準備会合では英語で会話をしていた。スペイン語、日本語、英語のトリリンガル校である日亜学院生徒だがびっくりしたらしく、英語の影響を受けた返事をしている子もいた。
 ORTの先生の指示はスペイン語である。しかしながら、担任の金城ナタリア先生の指示できちんと「こんにちは」「よろしく御願いします」など日本語で挨拶ができ、また最後にお礼として折紙で鶴を折り、お世話になったORTの音楽科の先生をはじめ、学生達一人一人に友情の印として「ありがとう」と渡すことができた。
 ユダヤ系の学校だが非ユダヤ系の学生もいるORT校と、非日系も多くなってきたが日本語と日本文化教育を受けている日亜学院が新しい経験をした。この交流自体が、アルゼンチン社会の民族の多様性が織りなす美しいアンサンブルの好例となった。