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大雨と干ばつに泣くブラジル=気象上の2現象重なる=リオの大惨事から1年経過=大統領も閣僚らと対策協議

ニッケイ新聞 2012年1月10日付け

 今年のブラジルは、大西洋からの湿気を運ぶ風による夏の雨とラニーニャ現象とが重なり、南東伯の大雨と南伯の干ばつという両極端の自然災害に泣いていると7日付フォーリャ紙が報じた。

 南東伯ではミナス、リオ、エスピリトサントの3州で雨による被害が拡大する一方、干ばつ被害のサンタカタリーナ、南大河、パラナの3州では農産物によっては9割ダメになるとの予想が出るなど、両極端の現象が広がっている事は9日付伯字紙などの報道だ。
 南東伯の夏の雨は、大西洋からアマゾン上空を経て流れ込む、湿気の多い風を原因とし、毎年恒例の現象でもあるが、10月からの雨で15人の死者が出、104市が非常事態宣言中のミナス州など、昨年から今年にかけての水害は例年を上回る様相を見せている。
 雨による被害増大は地球温暖化が原因と見る向きもあるが、もう一つ影響しているとされるのがラニーニャ現象だ。
 ペルーやエクアドル沖の太平洋赤道付近の海面温度が下がるラニーニャ現象は、海面温度が上昇するエルニーニョで東方に追いやられた温水が西方に戻る時に発生するとされる。貿易風が強まり、深海から冷水が湧き出て海面温度が例年より低い状態が6カ月以上続くラニーニャ発生時は、北大西洋でハリケーンが多く発生し、偏西風も蛇行。日本では猛暑や渇水に寒冬など、世界的な異常気候ももたらす。
 ラニーニャの影響はコロンビアやチリでも報告され、コロンビアでは大雨のため過去4カ月で180人以上が死亡。チリでは大規模な森林火災が起き、アルゼンチンや南伯では、農作物の収穫にも影響が出ている。
 南東伯では週末にも強い雨が降り、ミナス州での雨による死者は今月だけで13人、9日のベチン市で非常事態を宣言した市は104となった。
 リオ州では8日、州北部でムリアエ川の堤防が再び決壊、9日未明にはサプカイアでの土砂崩れで少なくとも6人死亡、不明者12人以上など、被害が拡大。非常事態宣言も7市に増えた。
 また、エスピリトサント州でも8日、カリアシカで2階建て家屋が全壊し2人が死亡しており、防災局が雨に起因するものか家屋の構造上の問題かを調べている。
 昨年の土砂災害で900人超の死者を出し、今も行方不明者が残るリオ州山間部では、社会保障を受ける事も新しい住居に移る事も出来ずに1年過ぎた人々がいる事は8日付伯字紙が報じたが、ミナス州でも、昨年約束されたダム建設は環境許可が出ておらず、計画の域を脱していない。
 干ばつに泣く南大河州が州として非常事態宣言を出した9日、ジウマ大統領は、官房長官や国家統合、保健、運輸、科学技術の各大臣と会って被災地支援に関する8日の話合いの結果を聞き、今後の対策を検討した。