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市長や知事に無断で開始=激化するクラック取締り

ニッケイ新聞 2012年1月10日付け

 3日から始まったサンパウロ市クラコランジアの取締りの結果、軍警は1週で逃亡者ら多数を逮捕するなどの成果を見せたが、同時にこの取締りがカサビ市長やアウキミン知事、軍警上層部に無断で一方的に進められていたことも判明した。7〜9日付伯字紙が報じている。
 今回の取締りでは、8日までにクラック所持の現行犯など42人が逮捕され、228グラムのクラックが押収された。このほか、同地域清掃で回収されたゴミ42トン、職務質問を受けた人1540人、病院などの医療機関に搬送された常習者35人となっている。
 だが6日、この取締りが、市長や州知事、軍警の上層部の許可なしに行われたものであることが判明した。取締り案は2カ月ほど前から考案されていたが、実施は、サンパウロ市ボン・レチロのプラテス通りに1200人収容可能な常習者用センターを開設する2月4日以降と、市長も知事も軍警上部も思っていた。
 だが、州法務局麻薬対策の担当者が、サンパウロ市セントロ担当のペドロ・ボルジェス大佐に、州知事が計画実施を望んでいると持ち掛けたところ、大佐が即座の開始を指示。その上の司令官クラスは休暇中などで、計画開始を知らされていなかった。
 アウキミン知事は6日に緊急会議を開き、取締り計画の開始司令が出た経緯について聴取した。ボルジェス大佐は1月初旬は休暇でサンパウロ市から人の減る時期であり、取締りをするには絶好の時期だと判断したという。
 この突然の取締り開始は一方でクラコランジアからの常習者の拡散を促し、サンタセシリアやイジエノポリスなどの商店街は、暴力事件を恐れて閉店時間を早めたりしている。また、軍警は道に溢れる常習者にゴム弾を使うなど、対処をエスカレートさせている。