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通勤中の事故で経費増加=政府や企業に負担重く=労災は減少にも関わらず=バイクなどの利用も影響?

ニッケイ新聞 2012年1月11日付け

 労働災害は減少しているが、通勤中の事故増加で政府や企業の負担が増していると9日付フォーリャ紙が報じた。経済成長に伴う雇用増や車両販売増は吉報でも、通勤時間や経費節約のためのバイク利用などによる事故増加は、新たな頭痛の種を生んでいる。

 ブラジルの労働者はここ数年うなぎのぼりで増えており、2008年の経済危機の時は雇用増と所得増が国内需要を支え、脱出を早めたともいわれているが、労働災害の総数は08年を境に減少している中での通勤中の事故増加は気がかりだ。
 労働災害には、建築現場での事故や作業中に吸い込むガスや埃に起因する病気など様々な要因がある。通勤中の事故による休職の場合も、雇用主には、休職中の勤続年限補償基金(FGTS)への積立と職場復帰後1年間は雇用を継続することが義務付けられる。
 休職中の生活保障の必要拡大は社会保障省の負担増にもつながり、通勤中の事故に起因する2009年から2011年にかけての社会保障省経費は、8億5千万レアルから11億6千万レアルにと37%増加した。
 08年〜10年の通勤中の事故は6・81%の増加だから、政府負担は事故の増加率以上に増えているといえ、実態を憂う社会保障省関係者は、走行車両の増加で労働者の通勤は地獄と化したとまで表現している。
 大都市圏を中心とした通勤中の事故は、1996年から2010年の間に173・2%増え、同じ時期の労働災害の増加率を2倍以上上回る。
 現場での安全指導などにより、労働災害が08年以降減少しているにも関わらず、通勤中の事故が増えていることの原因と見られているのは、バイクを中心とした車両販売と交通量の増加だ。
 11年の車の登録数は2001年の2倍強の265万台。バイクの数は01年の約3倍の194万台となっているが、保健省によれば、昨年前半の交通事故による入院患者の約半数はバイク絡みの事故によるという。
 車やバイクの増加には、消費者の経済力や個人融資利用の簡便化と共に、早朝や深夜の勤務で公共交通機関が使えない人や通勤時間や経費を節約したいと考える人の増加も影響している。
 バイクの普及が通勤中の事故増加に直結することを証明するような研究事例はまだないが、企業努力でコントロールできない通勤中の事故で負担が増えていることを不満とする企業からは、FGTSへの積み立て免除などの要請も出ている。
 12月26日付フォーリャ紙によれば、11年の国道の交通事故では、労働者が失う賃金や事故後の処理費などに伴う損失額が145億レアルに達した。交通地獄の解消は、労働者とその家族の生活安定、企業利益や政府支出の増減にも直結する問題といえる。

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