ニッケイ新聞 2012年1月11日付け
大手靴メーカーのヴルカブラス社が2011年に大量解雇を行っていたことが判明した。10日付伯字紙が報じている。
フォーリャ紙によると、ヴルカブラス社は11年にバイーア州にある工場を六つ閉鎖し、子会社であるアザレイアのお膝元のリオ・グランデ・ド・スール州パロベーでも製造ラインを停止。その結果、8856人を解雇したことになる。
ヴルカブラス社の11年の売上は3620万レアルで、10年の4510万レアルを大きく下回った。同社の11年1月〜9月の粗利益は3千万レアルのマイナスで、9月時点の負債は9億4040万レアルに膨れ上がった。同社は2007年に婦人靴のアザレイア社を吸収、2010年にアルパルガタス社に抜かれるまで国内の靴製造第1位の企業だった。
ヴルカブラスの急落には、為替の不均衡や違法取引などにより、同社が得意とするスポーツタイプの靴の輸入が増えたことが影響。中国製を中心とした靴の輸入は1月から11月に前年比40・3%拡大した。
中国からの輸入品がブラジルの産業に打撃を与える状況は、携帯電話産業でも明白だ。エスタード紙によると、2009年の国内携帯電話市場での輸入品の売上は9%だったが、11年上半期は20%、下半期は35%に増大。中国製品は、2月の54%から8月には85%と急増している。中にはわずか12米ドルで市場に出回っている品もあることから、国内では中国製品の輸入規制を求める声も出ている。
また、輸入品による打撃という点では自動車産業も同様で、工業製品税(IPI)で国産品が保護され、生産、販売とも新記録を達成したにもかかわらず、12月は乗用車部門529人、トラクター部門140人が解雇された。
ヴルカブラス社のミルトン・カルドーゾ社長は今後の対策として、「市場を国外に広げ、2〜3カ月のうちにインドでの生産をはじめる」とし、「採算が取れれば、インドで生産する靴の一部をブラジルに輸入したい」とも語っている。靴製造量は世界3位のブラジルは、輸入よりも輸出の方が多く、国外での靴の売上は11億7千万ドルに及ぶ。