ニッケイ新聞 2012年1月11日付け
ブラジル岐阜県人会(山田彦次会長)は昨年11月27日に開かれた臨時総会で、老朽化を理由にブエノ・デ・アンドラーデ街446番に建つ同県人会館の売却を決定した。
今後は総会で権限を委託された理事会が売却先や時期を決定するが、移転先の土地購入や新会館建設の目処は全く立っていない。
山田会長は「県人会活動の在り方を決めるきっかけになる良い時期」としながらも「全ては会員との議論で決めること。事務所のみを借りて運営する可能性もある」とも話した。
現会館は100年以上前に建てられた民家を76年に購入、増改築を繰り返してきた。しかし、昨年1月の長雨以降、破損した下水管から水が漏れ出したことで地盤が緩み、建物が傾いて壁が崩れるなど、使用に耐えないと判断した。
「こんな古い会館では日本からも人を呼べないし、若者が寄り付かない。全会一致で売却が決定された」(山田会長)
09年10月の臨時総会には現会館を取り壊し、同じ場所に新築することを前提に建設計画を策定。母県でも任意団体「ブラジル岐阜県人会を応援する会」が発足、資金集めを行ってきた。
だが、08年の経済危機が長引き難航、昨年4月開始予定だった資金カンパのキャンペーンも東日本大震災発生のため見合わせとなっていた。
「わずかでも県から補助金を受けているのであれば、ただの親睦団体であってはならない。日本語を中心とする文化の継承も県人会の責務」と力を込める山田会長だが、その基盤となる会館の売却により、県人会の方向性に大きな決断を求められることになりそうだ。