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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年1月11日付け

 今年10月には市議と市長を選ぶ地方統一選挙がある。前回のサンパウロ市議選には29人が乱立し、神谷牛太郎、羽藤ジョージ2氏が当選した。羽藤氏はその後サンパウロ州議に繰上げとなり、補欠だった野村アウレリオ氏もサンパウロ市議に繰上げ、日系市議数は百周年時の4人から2人に減った▼今回の選挙戦も厳しそうだ。今聞こえてくるだけでも、短期間だが繰上げサンパウロ市議を経験した小林ビットル(故小林パウロ下議の息子)、妻慶子氏が日系最多得票で下議に当選した勢いを利用して出馬するという夫の大田正高氏、党派策謀の犠牲となり上議になりそこなったウイリアン・ウー元下議らの出馬が噂されている▼9日付けエスタード紙社説欄には「日本時代の終わりか」との記事が掲載され、「さらに新しい負債が加われば、国際貿易の順位をさらに下げるだろう」と悲観的な観測が書かれていた。まるで日本が「日出ずる処」ではなく「日沈む処」といわんばかりだ▼先日、国内総生産世界2位の中国と3位の日本が大経済圏を作って、6位の資源大国ブラジルが加われば、欧米経済の不況深刻化にも耐えられるかもと書いた。日中関係はナショナリズムが煽られて常に犬猿の中だが、今こそ〃薩長同盟〃の時代かもしれないと▼その続きだが、ブラジルはさしずめ土佐藩かもしれないと連想した。そして西森ルイス下議は幼少の時、親の郷里の高知県で育っており、ブラジルの〃坂本龍馬〃に相応しいなどと思いついた。先日来社した西森氏に「坂本龍馬役を担って日中同盟を仲介して〃世界維新〃を」と冗談で提案したら、あっさり一笑に付された。やっぱり、小説向きの筋書きのようだ。(深)