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アルゼンチン=輸入規制をさらに強化=国内産業の保護強める=物流の遅れをブラジルも懸念

ニッケイ新聞 2012年1月13日付け

 アルゼンチン政府が輸入規制をさらに強化する見通しであることが明らかとなった。12日付伯字紙が報じている。
 同国の連邦歳入庁(Afip)などは規制強化に関する正式発表を行っていないが、規制強化は2月1日からはじまる見込みで、輸入を希望する企業には、政府の発行する輸入希望申請書に従って詳細な報告を逐一行う義務が課される上、政府の認可が下りるまでどれだけの時間がかかるかは不明だ。「実質、全ての輸入品に関してこの手続きが必要となる」と商工会議所の広報担当者は語っている。
 規制強化はアルゼンチンの貿易収支の黒字縮小傾向に歯止めをかけるためで、同国政府は2012年度の貿易収支で100億〜120億米ドルの黒字を目指しているという。また、欧州での需要低下でアジアからの輸入品が南米に雪崩的に押し寄せてくることを恐れたためとの憶測もある。事実、ブラジルの自動車市場でもフォード、GM、フィアットの売上が落ち、替わりにアジア車の売上が上がったとの発表が11日になされている。
 また、この規制はクリスチーナ大統領が12月の第2次政権発足数日前に行った「私たちは釘一本の輸入すら希望しない。欲しいのは全てアルゼンチン製だ」という、自国製品を保護する発言とも同調する。また、輸入認可を担当するベアトリス・パグリエリ貿易局長は、同国が2008年に行った輸入規制の主導者だったギレルモ・モレノ現商務局長の側近でもある。
 新規制に対しては、アルゼンチン国内の企業のみならず、政府内部でも「輸入申請の全てを1日やそこらで処理できるはずがなく、大量の遅れが生じて混乱を来たす」との懸念の声がある。また、ブラジルの商工開発省も「貿易の流れが悪化するのを避けるため、アルゼンチン政府との話し合いを持ちたい」と語っている。
 アルゼンチンの元国際経済関係局長のホルへ・キャンベル氏は「輸入に遅れなどが生じることはあるが、それがブラジルとの関係に影響することはない」と語っている。